2012年12月11日

こども世界

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「こども家の光」昭和28年10月号 家の光協会
風間四郎の描く童画。どこか不思議な感じのする絵ですね。

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(上)「人魚姫」谷俊彦画 「こども家の光」昭和28年10月号 家の光協会 (下)連載漫画「ポピィのあひる」ばばのぼる画 「小学二年生」昭和25年5月号 小学館
楽園感覚のあるページ。

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(左)「四年の学習」昭和27年4月号 学研(右)「こども家の光」昭和36年4月号
ぶらんこの表紙を並べてみました。

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「小学二年生」昭和25年5月号 小学館
見開きページでゲーム盤がデザインされています。

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同上。「二ちゃん」というのは読者ページのキャラクターです。

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「こども世界」昭和25年2月号 実業之日本社

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同上。コマ割の無い一枚絵のパノラマ漫画のスタイルは昔の児童雑誌ではよく目にします。時系列から解放され、各所で交わされるフキダシの会話の賑やかさが楽しいですね。こうしたスタイルの表現から思うのは、モノゴトは順番に起こって時間は流れてゆく、というのはあくまで主観的な「時間感」に過ぎず、実際の世界はあらゆる出来事が一度に「今」起こり世界は生成されていくのである、という客観的時間の概念ですね。

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「小学二年生」昭和26年5月号 小学館
童画界の第一人者黒崎義介(くろさき よしすけ 1905〜1984)の可愛らしい挿絵。

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同上。連載漫画「とっぴーのふしぎなくに」みきますお画 不安も不満も無いユートピア「らくらくの国」に案内された主人公、勉強も無くお菓子も食べ放題の理想郷に「ぼくもこの国に住みたいな」とすっかり気に入ってしまいますが、ねずみの大群がこの国に引っ越してきてから様相は変わります。遊んだり居眠りしたりするばかりの怠け者の国民ばかりなので、ねずみがどういう生き物なのかも解らず対策もしないのでどんどんねずみが街にあふれていき・・・といった所で「つづく」になっています。
posted by 八竹彗月 at 10:35| Comment(0) | 古本

2012年12月05日

スティーブ・ライヒ『ドラミング』鑑賞

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新宿区の東京オペラシティコンサートホールで行われたコリン・カリー・グループによるライヒの大作『ドラミング』を含む4曲の演奏を楽しんできました。演目は『クラッピング・ミュージック(約3分)』『ナゴヤ・マリンバ(約5分)』『マレット楽器、声とオルガンのための音楽(約17分)』『ドラミング(約55分)』です。全ての楽曲はCDで聴いていて知ってましたが、やはり音響が計算されたホールでライブで聴くのは気持ち良いですね〜 ライヒとコリン・カリーによるふたりの手拍子のみで奏でるトリッキーな『クラッピング・ミュージック』からいきなりライブは開始されます。音楽というよりアート・パフォーマンス的な作品ですね。タイプライターのカチカチ音をベースにした『タイピング・ミュージック』というのもライヒの作品にありましたが、こういう洒落っ気は好きです。音楽としてどうかということより、手拍子の音に耳を澄ませて静かに聴いている満員の聴衆という場の滑稽さとか、手拍子音楽の終了後に客がまた拍手で締めるというシニカルな感じが愉快でした。

期待していた『マレット楽器、声とオルガンのための音楽』も、期待どおりの見事な演奏で、情緒性を排した中で生まれる別次元の情緒が生成されていくような不思議なヒーリング感のある名作ですね。楽器の音に同化してとけ込む女声の異次元な雰囲気がたまりません。ライヒの大作のひとつである1時間近い演奏時間の『ドラミング』は期待以上に良くて、体感時間は20分くらいに感じるほど惹き込まれました。こちらもクライマックスには声や口笛、そして口笛を模したピッコロの音色が絡み合い高揚感がすごかったです。大好きな『6台のピアノ』『ディファレント・トレインズ』『オクテット』あたりの曲もいつかライブで聴いてみたいです。

以前書いたスティーブ・ライヒ関連記事
posted by 八竹彗月 at 17:13| Comment(0) | 日記

2012年12月01日

【音楽】最近のお気に入り曲

Kayak「Ivory Dance」
カヤックはオランダのベテランのプログレバンド。この曲はアルバム「Periscope Life」に収録されたインストゥルメンタルです。魔法の国に誘われていくような、テンポのいいアイリッシュ風の幻想的なメロディが心地よいです。

Annie Moses Band「Poor Wayfaring Pilgrim」
アニー・モーゼス・バンドはブルーグラス、アイリッシュ、クラシック、ジャズなどの融合した個性的で洗練された楽曲が魅力のアメリカのバンド。0:40からの静かに高揚する感じがお洒落でカッコイイですね。

Green Day「Amy」
グリーン・デイはアメリカのパンクロックバンド。この曲はパンクではなくいい感じのしっとりしたバラードです。

Singing Nun「Dominique」
1964年のヒット曲。いつかどこかで聴いたことがあるドーミニックニック〜のコーラスのアノ曲です。ベルギーの本物の修道院シスターたちが歌っているというのも異色ですね。歌詞は、天使のように純真な盲目の少女ドミニクの信仰心に厚いけなげで明るい日常を描いています。

Whistling Jack Smith「I was Kaiser Bill's batman」
1967年のヒット曲。これもどこかで聴いたことがある口笛のみのアノ珍曲です。邦題は「口笛天国」。直訳すると「俺はカイザー・ビルのバットマンだった」ですが、調べてみると、カイザー・ビルというのはビクトリア女王の孫息子で、第9代プロイセン王国国王・第3代ドイツ帝国皇帝ヴィルヘルム2世のことを指すようです。バットマンは例のヒーローのことではなく、英国軍の将校の身辺の世話役として配属された当番兵の意味があるみたいですね。口笛の曲というと、あのユーモラスなクラシックの名曲「口笛吹きと犬」も思い出しますね。

J.J. Cale「Don't Cry Sister」
アメリカのベテランシンガーソングライター、J.J.ケイルの渋いソウルフルな逸品。

dala「Drive Through Summer」
ダラはカナダの女性フォークデュオ。アコースティックな気持ちのよい曲です。

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タグ:音楽 洋楽
posted by 八竹彗月 at 10:01| Comment(0) | 音楽

2012年11月30日

ふしぎな保健室

古来から人間にとって病気は身近な脅威です。病魔を追い払うために人は呪術に頼り、現代では医学に頼り、自らの人体の健康を維持しようとしてきました。人間のメカニズムを熟知した医師は、現代のシャーマンといえるのかもしれません。手塚治虫は「ブラックジャック」で医学をモチーフにした漫画の先陣をきりましたが、たしかにこれほど「人間」を深く掘り下げて描けるテーマはなかなかないですね。

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人体模型がシュール。理科室や保健室というのはしばしば怪談話のネタになりやすい場所ですが、それだけ妖しい幻想が篭った学校内の異空間なのでしょうね。
「小学館の学習図鑑シリーズ8 保健と人体の図鑑」昭和31年

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同上。身体検査のイメージは、どこか人体の非破壊検査じみたマッドサイエンス幻想がふくらみます。

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同上。内蔵を透視しているのか、裸体に臓器標本を貼付けているのか、気持ち悪くならないように解剖図を表現していますが、そうした配慮も手伝ってかどこか艶かしさすら感じます。

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同上。胸式呼吸の図。

医学に関するテーマは、人間と密接であるがゆえに、本質とは離れたところでも様々な嗜好が派生していきます。アニメ・エヴァンゲリオン(1995年)で描かれる包帯を巻かれた綾波レイのイメージ以降、包帯フェチともいえる異端嗜好が一般化していきますが、源流となるイメージはエヴァより遡ること10年前にフランスの芸術家ロマン・スロコムブによる「メディカルアート」という特殊な芸術のジャンルが発案され何人かの芸術家が表現した様々なメディカルイメージに因る所が大きいと考えています。ロマン・スロコムブは70年代あたりの日本で見かけられた自動販売機のエロ本などに見られる看護婦の痴態や病室でのエロティックな行為を描いたポルノグラフィに興味を抱き、表現のジャンルとして採り上げたらしいです。ナースもののポルノというジャンルは以前からありましたが、これは「白衣の天使」という汚れなきイコンを穢すという、ある意味自然なエロスであるのに対して、メディカルアートでは、治療する側のナースよりは、される側の患者のほうにエロティシズムのベクトルが向きます。怪我をして苦痛に耐える姿に萌えるという特殊な性癖は、これもけっこう以前から存在するような気がしますが、その背徳的な嗜好をアートとして表現し、認知させたのは面白いと思います。ゴットフリート・ヘルンヴァインやキキ・ピカソなどもこの分野では有名ですね。メディカルアートは屈折した医学イメージの表現という受け取り方も出来ますが、エロスとしての包帯は緊縛のための縄の暗喩ですから、SM表現のバリエーションであり、「痛み」を表現するアートという見方もできるかもしれませんね。

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「L'art Medical」ロマン・スロコムブ編 1983年

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同上。(左)ロマン・スロコムブ(右)坂本龍一のジャケットアートなどで知られる大西重成による作品。

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1994年パリで発行されたロマン・スロコムブの写真集。中身は包帯を巻かれた日本人(?)女性のエロティックな姿態が納められています。中ページに鉛筆でスロコムブのサインがあるお宝写真集です。

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メディカルアートの数少ない伝承者トレヴァー・ブラウン。ポップでキュートな絵柄ながら作品はけっこうグロいものもあります。多作な人のようで、画集もけっこう出ていますが、中でもミルキィ・イソベによる赤十字のビニール装丁は逸品ですね。

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「宇宙衛生博覧会」筒井康隆 新潮社 1979年
装丁は横尾忠則。タイトルの「衛生博覧会」ですが、これは昭和の初め頃に流行った衛生博覧会という珍妙な催しのことで、表向きは医学をテーマにした学術的な博覧会という名目で行われたそうですが、実際はそうした建前に名を借りたエログロな猟奇趣味が主体の見世物小屋的なものだったそうです。そうしたいかがわしい祭典をタイトルに引用しているところからも予想がつくとおり、この本はSF的な猟奇掌編が詰め込まれた作品集です。筒井康隆によるSF的メディカル幻想は強烈です。この中の「問題外科」は、手術室で仮眠をとっていた看護婦を手術待ちの患者と勘違いした異常性欲者の医師ふたりが解剖をはじめてしまうというブラックな作品。筒井康隆の初期の短編はどれも傑作揃いですね。「時をかける少女」「家族八景」などの七瀬シリーズの原作者としての知名度が今では高いと思いますが、あのような作品は例外的で、むしろこの作品集に納められているような狂気と幻想のブラックユーモアてんこもりのスクラップスティックSFが初期の筒井作品の本領です。80年代以降は「虚人たち」「虚航船団」をはじめとする前衛文学を続々と発表していきますが途中途中で「パプリカ」「文学部唯野教授」などの話題作も書いていてバランスを失わない作風はすごいですね。大好きな作家なのでいずれ筒井康隆については単独で記事を書いてみたいです。

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「オイシャサンゴッコ」七戸優(しちのへまさる) 飛鳥新社 2005年
「不思議ナックルズ」の表紙画や書籍の装丁画などで異才を発揮する七戸優の画集。内容は少女ナースちゃんの奇妙な冒険を描く詩画集です。まぼろし病院のシュールな世界を描く傑作です。この人の絵はとても好みです。

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「アムネジア」太田螢一 けいせい出版 1986年

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同上。メディカルですね〜

太田螢一は80年代にバンド「ゲルニカ」で戸川純、上野耕路と共に活動していたことでも知られる奇才です。メディカルアート以前にそうしたテーマを扱っている天才アーティストで、鉱物嗜好、ロシア構成主義、天体幻想など、理科室のプロレタリアートとでもいうべき超個性派です。この本は彼の嗜好をまんべんなく納めた最も重要な作品集だと思います。イラストも独特で面白いのですが、彼の写真家としての才能も並ではないことをうかがわせます。

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ヴィンテージ薬瓶。薬の妖しい匂いがしてきそうな背徳のロマンを感じる瓶のフォルムがいいですね。
「お薬グラフィティ」高橋善丸 光琳社 1998年

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子供用の薬剤のパッケージアート。

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「ファンタスティック12(vol.11) 解剖の美学」荒俣宏 リブロポート 1991年
12のテーマで展開される荒俣宏の博物学ワールド。これはその中の1冊です。「解剖の美学」というタイトルからして背徳的な妖しさがムンムンしてますね。東西の古い解剖図を掲載した本ですが、アカデミズムの用途であっても絵師にとってはそれ以上の「作品」にしたいという表現者のジレンマがありますが、そうしたほとばしる表現欲により実用を超えてしまった解剖図はシュルレアリスム絵画のように「鑑賞される解剖図」のような様相を呈します。この本で着目すべきは、18世紀オランダの絵師ゴーティエ・ダゴティ(Jacques‐Fabien Gautier D’Agoty)の描く解剖図でしょう。2009年に森美術館で「医学と芸術」と題した展覧会でダゴティの解剖画の現物を実際に見る事ができましたが、医学のための挿絵というより、ほとんど「絵画」としての解剖図といった感じで面白かったです。
posted by 八竹彗月 at 17:42| Comment(8) | 古本

2012年11月27日

理科ちゃん

昭和37年発行の「科学ブック」(第1巻 第18号 世界文化社)からいくつか面白そうなビジュアルを紹介します。

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磁石人形で遊ぶ子供。

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絵本感覚のパラダイス感あふれる見開きイラストもけっこう載っていて楽しい雑誌です。

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磁石と少女。鉄を引き付ける見えない力には未だに好奇心をくすぐられます。写真の少女が持ってるのはフェライト磁石ですが、世界で最も強力な永久磁石はネオジム磁石といわれています。これもはじめて手にしたときはちょっとした感動をおぼえました。

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樟脳は防虫剤として日常でもよく利用されてますが、樟脳の小片を付けた紙の小船を水に浮かべると、その科学的性質によって後方の水面に樟脳の成分が拡がって表面張力の差によって奇妙な動きをするようです。ちょっと試してみたくなりますね。

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シャボン玉遊び。

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(上)火鉢を使ってあぶり出しで遊ぶ子供。(下)朝顔に囲まれた小さな庭先で押し花作りをする子供。小さな楽園といった感じの雰囲気ですね。

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水鉄砲

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ゴム風船
タグ:科学 少女 古本
posted by 八竹彗月 at 19:04| Comment(4) | 古本