やる気が残っているうちに手を付けないと、今までの例から多分何年経ってもやらない気がするので、ついでに先日言及しました「さらに痛みのひどい本」を補修することにしました。
というわけで、今回補修するのはこの本です。
『神話と神話学』中島悦次 著 大東出版社 昭和17年
背表紙はおろか、表紙もボロボロです。ちなみに中身は周辺がヤケてる程度で読書には支障のない許せる範囲の経年劣化です。本の内容はタイトルの通り神話の解説なのですが、宇宙創成神話の分類をはじめとした宇宙関連の神話についての章立てがメインになっていて、ちょうど宇宙にも神話にも興味がある私としては、状態が悪くても一度読んでみたい!と思わせる印象がありましたので思い切ってお迎えしました。宇宙をテーマにした神話関連の本は他にも何冊も持ってますが、他の本に書いてないレアな神話が載ってる可能性があるので、多少の重複は覚悟で好きなテーマの本は集めてます。後で追記でこの本の目次も入れようと思ってます。まだ読んでませんが、この目次を見たら、私と似たような趣向の方はグッとくると思います。
これも語ると長くなりそうなので、本の内容はひとまず置いといて、早速補修に取りかかろうと思います。中は読書に支障がないにしても、表紙も背表紙もダメージありすぎなので、読書のたびにいろいろ剥がれ落ちたりしそうな状態です。なので、とりあえずはストレス無く読書できる程度の状態には復帰させようと思います。
表紙の厚紙もくっついていた何層もの紙が剥がれてるのでまずボンドで元の1枚の厚紙に戻します。背表紙も剥がれているのでバラけないようにボンドを塗りました。
前回のように、背表紙を作り、これを貼って補強しておしまいにしようかと思ったものの、表紙のダメージも相当なものなので、これはボツにしました。どうしたものかと思案。表紙を別の厚紙で補強しようかとも思いましたが、難易度が高い割に上手くいっても違和感がでてきそうなので、かわりに全体をくるむカバーを作ることにしました。カバーでくるむほうが、今後のダメージ軽減や補強の替わりにもなりますし、なんといっても見た目的には今の自分の出来る範囲の方法の中では最善かと判断しました。
では、さっそく表紙カバーの作成にはいります。手元にあるこの本もおそらくもともとあったカバーが無い状態だと思われますし、ちょうどいいかもしれませんね。今回は検索しても国会図書館などの索引にヒットするだけで、背表紙どころか表紙カバーのデザインも不明でした。なので、目の前にある本のデザインを参考に、似たようなテイストで背表紙なども創作します。
白地では雰囲気でないので、地色も印刷しようと思いましたが、もともと色の付いた紙にプリントするほうがリアリティがあるのでは?と思いつき、けっこう昔に買ったインクジェット対応のクラフトペーパーがあったのを思い出し、それを使用することにしました。色合いも古書の焼けた感じに似てていい感じになりそう。ベージュ色のクラフトペーパーにプリントする事を考えて、文字の色味は鮮やかな朱色にしました。実際にプリントすると、いい具合に赤色が濁って落ち着きのある赤に。
文字は先日の記事と同じ感じで、似た書体で組んでみました。ヒラギノやリュウミンなど、オープンタイプのオーソドックスな日本語フォントには異字体として旧字体もけっこう含まれているので、こういう時には重宝しますね。絵柄は原本をスキャンしてphotoshopで図柄部分の選択範囲を出して、それを作業用パスに変換、そのベクトルデータをイラレ上で文字と同じ色に変換して使用しました。
完璧とはいかないまでも、最初の状態と比べればかなり良くなったと思います。クラフト紙を使う事でそこそこ古書っぽい雰囲気も出たので、これで良しとします。
怪し気な古書を入れてる本棚にさして確認。さすがに本物に囲まれるとちょっと浮いてる感もありますが、一応は許せるレベルではないでしょうか。ということで、今回も前回に引き続き、古本の補修を記事にしてみました。ご閲覧ありがとうございました。

今回補修しました本、『神話と神話学』(中島悦次 著 大東出版社 昭和17年)の目次です。
宇宙関連の神話の分類と解説。そそるテーマと、興味深い分類にグッときます。
上の画像は全ての目次です。宇宙創成神話だけでなく、太陽や月などの天体関連も充実していますね。巨人や小人の神話など、大ヒットしたアニメ『進撃の巨人』とか、身近な話題の興味を深めそうなテーマもありますね。また最後のほうにある「神聖数の話」も面白そう。ざっと見てみると、民族の違いによって神聖視される数が違ってたり、ある民族がなぜその数を神聖視するのかなどが分類考察されています。偶然とインスピレーションで出会った本ですが、なかなか面白そうな内容の本ですね。