2017年05月12日

図解・幼女お遊戯「タンタン狸」

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婦人雑誌『主婦之友』(昭和8年[1933年]12月号 発行:主婦之友社) より、可愛らしいおかっぱ幼女によるお遊戯「タンタン狸」の振り付け写真をご紹介します。「タンタン狸」というと、「風も無いのにぶ〜らぶら」でお馴染みのあの牧歌的な下品ソングを一番に思い浮かべてしまいますが、記事にある踊りの解説文を見ると解るように、どうもあの歌ではなさそうです。歌詞の語調からいっても、例の俗歌とは全く違う曲っぽいですね。まぁ、さすがにいたいけな幼女にあの俗歌を振り付けて踊らせるような企画が、普通の雑誌の記事として掲載されてたらびっくりですが。しかしこの謎の童謡「タンタン狸」ですが、ネットで調べても、あの下品な俗歌の事しかヒットしないので結局解りませんでした。

ちなみに下品な方の「タンタン狸」の曲は、なんと賛美歌の曲が元ネタになっているようです。どういう経緯でこの俗歌が生まれたのか気になる所です。

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2017年05月09日

台湾の小1国語教科書

古本市で見つけた台湾の小学1年生用の国語教科書をご紹介します。レトロタッチの可愛い挿絵がいい感じです。

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「国民小学 国語(一年上級学期)」国立編訳館 1978年
70年代後半から80年代にかけて使われてた教科書のようです。漫画っぽくなりすぎず、写実すぎない、この絶妙な「教科書っぽさ」のあるタッチ、どこか心地よい郷愁を感じます。


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はじめて小学校で習う国語教科書の最初のページといったら、やはり爽やかな朝日の絵は定番なのでしょうか。日本の尋常小学校の教科書にもこんな感じのものがありましたね。

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小学校低学年の教科書といったら平仮名ばかりというイメージがあるせいか、難しそうな漢字ばかりの台湾の小一の教科書をはじめて見ると、ちょっとしたインパクトを感じました。まぁ、あちらは平仮名片仮名は無いので当たり前なのですが、いきなり画数の多い漢字がてんこ盛りの小一教科書を眺めていると、なんとなくSF的な異世界感覚を感じます。台湾、香港、マカオで使われている漢字は、大陸本土で主流の簡体字(1950年に制定された画数を減らした漢字)ではなく、日本の漢字より画数の多い文字が多い繁体字です。同じ漢字でも微妙な差異があって面白みを感じます。

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漢字にはすべてフリガナみたいなものが付いていますが、これは注音符号(ボポモフォとも呼ばれる)です。ボポモフォは中国語の発音記号なのですが、主に台湾で使われているユニークな発音記号です。中国語の発音を表すのは、英語のアルファベットみたいな記号で表現したピンイン(拼音)が主流ですが、ボポモフォで中国語を学ぶのも通っぽくて面白そうです。

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「小小鳥兒」は「小鳥」という意味です。ある漢字をふたつ繰り返す単語って、なんとなく、いかにも中国語という感じがしますね。そういえば「娘娘(ニャンニャン)」とか見た目が可愛い単語で、響きも可愛らしく、つい純真な美少女を連想してしまいますが、調べてみたら実際は「女神」「母」「貴婦人」「皇后」などの意味のようです。そもそも中国語で「娘」という言葉は「女性」あるいは「母親」の意味で、「若い」とか「幼い」という意味はまったくありません。そのように、同じ漢字を使っていても意味が違う単語などを調べるのも楽しいです。そういえば諸星大二郎の漫画『諸怪志異』に「眼光娘娘」という道教の女神が登場しますが、たしかに少女ではなく母性を感じる利発な妙齢の女神として描かれてましたね。

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台湾独特の中国語の発音記号、ボポモフォだけで書かれたページ。別世界の絵本を見てるような不思議感覚がたまりません。どこかマトリックスに出てくる似非カタカナっぽいテイストで、異次元感覚をかき立てるユニークな文字ですね。

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2017年05月08日

1968年、春の少女服

昭和43年(1968年)発行の雑誌「主婦の友」付録「春の婦人・子ども服」より、可愛らしい少女服をご紹介します。

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タグ:少女 洋裁
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2016年08月02日

日本語の造形

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表紙や序盤の1〜20ページほどが無くなっている状態の和本。辞書のように分厚いです。奥付には明治19年4月発行とあります。書名が分からないので詳細は不明ですが、中身は歴代の天皇陛下の諡号(しごう)や、全国の市町村名、いろは歌、千字文などなど、さまざまな用途で使われる表記を収録してあり、今でいえば一家に一冊常備しておくと便利な暮らしの便利事典%Iな本みたいな感じです。図入りのページは江戸時代の寺子屋の教材によく使われていた「絵本塵摘問答」という、昔の「まんがはじめて物語」的な章のみで、他は様々なデザインとレイアウトで江戸時代の寺子屋で使われていた様々な教科書のたぐいや、基礎的なお役立ち知識などを紹介しており、日本語の文字の造形美を楽しめます。

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「七以呂波(ななついろは)」の章。七以呂波というのは片仮名・平仮名など、七種の字体・書体で書いたいろは歌で、当時の手習いの教本に使われていたもののようです。いろは歌の部分が妖しげで、これはよく印鑑などに使われる篆書体だと思いますが、篆書体ってなんとなく神代文字めいた神秘的なフォルムで面白いですね。このいろは歌の部分がオカルティックな雰囲気で面白いので以下に抜き出してご紹介します。

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「府県一覧表」。三府三十六県の管轄地の表。この頃は「東京都」でなく「東京府」だったんですね。他にも北海道はどうしたのか?とか、謎の県「堺県」とか、眺めているといろいろ面白みがあります。

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堺県というのは、1868年6月22日に設置され1887年11月4日まで存在した幻の県です。

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堺県は、今の大阪の堺市を含む南大阪と奈良県を合わせた県でした。けっこう存在感がありますね。

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「消息往来」より。いかにも大魔王を召還する呪文のような勢いの文字ですが、「消息往来」とは、寺子屋で使われた手紙の慣例語句を集めた教科書のひとつです。

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「消息往来講釈」より。大小の文字のメリハリがかっこいいですね。こういう流麗な字をスラスラ書けたらさぞや気分がいいでしょうね。崩し字マスターしてみたいです。

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「農業往来」より。これは農民向けの初等教科書のようです。往来と語尾にあるものは「往来物」といって、手紙の形式で書かれた教科書のことです。他に商人向けの「商売往来」なども収録されてました。

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「全国群名附」より。

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「名頭(なかしら)」より。名頭とは姓氏の頭の字を列記したもので、これも寺子屋などで文字の書き方の練習などに用いられたようです。

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「実語教(じつごきょう)」より。実語教とは仏教的な道徳や暮らしの中の教訓などを中心に編まれた初等教科書のひとつです。相撲の番付表のような力強い文字の躍動するリズム感が面白いですね。

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「仮名遣(かなつかい)」より。漢字の読みを覚えるついでにひらがなの連綿も学べるといった意図の教本でしょうか。

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この本に関する情報がちょっと気になり、切れ切れに残された奥付に書かれた編者の名前、土井宇三郎なる人物が手がかりになりそうなので調べてみました。富山県の書肆で、「富山県官員録」や富山の地図など、主に資料的な本の編纂の仕事が国会図書館のサーチでヒットしましたが、この本の情報は全くひっかからず、それ以上のことは分かりませんでした。

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2016年07月31日

鉱物浪漫「中等鉱物界教科書」

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「訂三 中等鉱物界教科書」理学博士・加藤武夫著 冨山房発行 大正9年(1920年)

先日古本市でいい感じの大正時代の鉱物学の教科書を見つけましたのでご紹介します。レトロな鉱物画と旧字体のハーモニーがたまりません。大正時代の学校制度は現在と違って初等教育以外は全ての国民が同じ事を学ぶ感じではなく、庶民とエリート、男子と女子などに細分化された振り分けがされていてややこしいです。この教科書は中等学校で使われたもの。中等学校は12歳から修業する5年制の学校のようですね。近代的産業化の黎明期だけあって当時は鉱山開発も活発でしたでしょうし、鉱物学も国民が早い時期に教わる重要な教養だったのでしょうね。

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オーストラリア産のジプサム(石膏の結晶)といっしょに撮ってみました。

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水晶の銅版画をあしらった扉。センター揃えの普通のレイアウトながらも、旧字の逆読みする横書きのムードにシビれてしまうのは、まさしく古書ならではの時の魔法≠ナすね。

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教科書なので、序盤には鉱物と岩石の違いとか6つの結晶系の説明など、鉱物学の基本的な定義が書かれています。あたりまえですが、大正時代だけあって古めかしい言い回しで説明しているので、鉱物好きならすでに知っている事でも新鮮な気分で読んでしまいます。

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古書コレクターにとっての鉱物学教科書の魅力の大半は、こうした素敵なカラー口絵によるものです。これは非金属の鉱物が並んだ図です。宝石になるような石が多く含まれるグループなので見た目に艶やかですね。サファイアを「サファイヤー(青玉)」、オパールを「貴蛋白石」と書いてあるのもいい感じです。また、電気石の「気」が「氣」な所や、蛍石の「蛍」が「螢」であるなど、旧字体の魅惑的な雰囲気にも惹き込まれます。

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中程のページに挟まれているカラー図版。これは鉱石を並べた図版です。「鉱石」という言葉は、漫画や小説では、鉱物をお洒落に言い換えた言葉≠フようなイメージで使われることが多いですが、鉱物学でいう「鉱石」というのは、建築や製鉄への利用など人間の経済活動に有益な鉱物(あるいはそうした鉱物を含有する岩石)を指す言葉です。逆に工業的な利用価値の無い鉱物を「脈石(みゃくせき)」と呼びます。装飾や美術などで使われる宝石類は鉱物学では鉱石と呼ぶことはないので、鉱石類の図版では地味目の石が多い感じになりますね。

お察しのように、上記にも書きましたとおり鉱石の定義は工業的に有用であるというアバウトなものなので、蛍石やダイヤモンドなど、宝飾だけでなく工業的にも利用される石などもありますから、学術的に定義された言葉ではありません。昔は脈石(役に立たない石)と呼ばれていたリチウムやベリリウムも、現代では半導体技術や音響関係の用途などに利用されるレアメタルとして有用性が見つかり、立派な鉱石に昇格しました。

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市ノ川鉱山で産出された輝安鉱のイラスト図版。日本刀のようなシブい魅力がたまらない鉱物です。輝安鉱は中国で多産されていますが、日本の誇る国産鉱物の代表格でもあります。市ノ川鉱山は現在は閉山していますが、かつては大きく美麗な輝安鉱が多産され明治時代に多くの標本が海外に流出しました。

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この図版では、輝安鉱の金属光沢を印刷で表現するためにシルバーの特色インキを使用しています。光が反射してギラリと光る感じが伝わりやすいように、スタンドの灯りでページを反射させてみました。

参考サイト
メモThe Giant Crystal Project Site(英語サイト)
市ノ川鉱山で産出された長さ60cmもある輝安鉱の結晶の写真が紹介されているページ。サイト名からも分かるように、このサイトは巨大な結晶の鉱物をテーマにしていて、ドイツの巨大な岩塩の結晶洞窟や、コンゴで採取された巨大な孔雀石など、インパクトのある珍しい画像が楽しめました。

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方解石のページに本物の方解石を置いて撮ってみました。

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瑪瑙のイラストと本物を並べてツーショット。

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やはり締めは水晶のページで。鉱物は、本物は本物の揺るぎない魅力がありますが、絵もまた別の魅力がありますね。
posted by 八竹釣月 at 05:07| Comment(0) | 古本