2012年03月20日

諸星大二郎

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諸星大二郎「夢見る機械」朝日ソノラマ 昭和53年

初版は昭和53年ですが、私が持ってるのは昭和61年の第12版のものです。諸星大二郎作品は、ここ10年にでた新しい作品や西遊記はあまり読んでないですが、初期のものはほぼ読んでいます。初期の諸星作品はSFからホラーまでバラエティに富んでいて、「夢見る機械」もそうしたおもちゃ箱のような作品集のひとつです。この朝日ソノラマ版が表紙デザインが一番好みなのでピックアップしました。たしか現在書店で売られてる同名の単行本とは収録作品が異なってると思われますので、一応この本の収録作を挙げますと、
・夢見る機械・浸食惑星・奇妙なレストラン・ティラノサウルス号の生還・コッシー譚・ど次元世界物語・地下鉄を降りて…・ぼくの日記帳・猫パニック
と、なります。

表題作の「夢見る機械」に、ボロアパートに一人暮らしをする自称「市井の哲学者」渋川立彦というキャラが出てきますが、ネタ元になってる異端の伊達男・澁澤龍彦とは真逆の雰囲気なのが面白いです^^ 「マトリックス」を先取りしたようなこの作品での個人的に惹かれるアイデアは、ある秘密企業にアクセスする入り口が「新宿の目」であるという設定です。「新宿の目」とは、新宿西口のロータリー前に現在も実際にある巨大なレリーフ状の奇怪な彫刻作品のことで、現物を見たときは「夢見る機械」のイメージと重なって感慨深かったです。

自分の、民俗学、神話などの嗜好はおおかた諸星作品の影響なのかな〜と思ってます。短編「詔命」を読んだ勢いで柳田國男の本を買った思い出がありますが、いまだに読破してません。神話学では、エリアーデやジョセフ・キャンベルが大好きなのですが、こうした分野に興味を持つきっかけは全部諸星大二郎の影響ですね。

好きな諸星作品は数多く、ひとつ挙げるというのは無理難題に近いのですが、どうしても1冊選べと言われたら「マッドメン」を推します。wikiには「パプア・ニューギニアを舞台に、近代化により失われ行く神話と伝統を、日本神話に絡めて描く。」と上手く一言でまとめられていますが、そうした予備知識を一掃するほどのスリリングでミステリアスな天才的ストーリーテリングを堪能できることうけあいです^^ 当時の現代思想のムーヴメントであった構造主義のエッセンスを取り入れながら、極上の娯楽に昇華する腕前は見事というしかありません。

先頃刊行された河出書房新社の諸星大二郎特集のムックを読みました。諸星大二郎の熱狂的なファンであることを熱く語る細野晴臣氏のインタビューが面白かったです。「THE MADMEN」という曲も書いてるくらいですから、かなりのファンなんでしょうね^^ 

そのムックには寄稿してませんでしたが、筒井康隆の「暗黒世界のオデッセイ」に収録された漫画作品に、「マッドメン」にインスパイアされて描いたとしか思えない「アフリカの血」という作品があります。そのあたりのコメントも筒井氏の言葉で聞きたいところですね〜^^
そういえば、徳間文庫の「'73日本SFベスト集成」では筒井康隆が選者でしたが、そこに諸星大二郎の「不安の立像」がチョイスされていたのを思い出します。やはり筒井氏も諸星氏の才能にただならぬ関心を持っていた可能性が高いですね。私が諸星作品に惹かれるきっかけは、当時から大ファンだった筒井康隆が件の本で紹介していたからだったように思います。

「妖怪ハンター」「諸怪志異」などのシリーズ、「無面目・大公望伝」の超越的な世界、書きたい事がたくさんありすぎますが、とりあえずいったん筆を置きます。
posted by 八竹釣月 at 07:12| Comment(0) | 漫画