2017年03月04日

トランプゲーム『大富豪』について

専用ゲーム機でFFシリーズなどを遊ぶのも楽しいですが、面白ければ面白いほどゲームは「止め時」が難しく、ほんの時間つぶしのつもりではじめてみたものの、結果的に貴重な睡眠時間を削ってしまった、という経験のある人も多いと思います。そういうこともあって、ここ数年私は、花札やオセロなど、サッとプレイできてサッと止めれる無料オンラインゲームのほうがプレイする機会が多くなりました。昔からあるボードゲームやカードゲームの定番は、勝負がつけばそこで終われて、ロールプレイングやアドベンチャーゲームのようにいったんステージクリアしても「次のステージが気になる!」という後引きがありません。

前置きはそろそろ切り上げて本題に入りますが、そうした定番ゲームの中のひとつ、トランプの『大富豪』をオンラインゲームで遊んでいるときにフト思う事があったので、その勢いで記事を書いてみた次第です。『大富豪』というゲームは、なんとなく欧米とかで昔からあるゲームのように思ってましたが、(類似のゲームは海外にもありますが)一応日本発祥のゲームらしいですね。『ポーカー』とか『ブリッジ』などはいかにも海外のゲームといった名称ですが、『七並べ』も外国から輸入されたゲームのようです。で、『大富豪』は、Wikiの記述では、70年代あたりの学生運動が下火になりかけた頃に広まったゲームであるという、作家の三田誠広(みたまさひろ)氏の説を取り上げていますね。たしかに「富豪」、「平民」、「貧民」などに振り分けられたりとか、マルクスとかの階級闘争っぽい概念が垣間見えるネーミングで、なるほどといった感じがします。

そうして考えてみると、このゲームをスリリングなものにしているユニークなルールのひとつ「革命」など、モロにソレっぽい感じがしてきて、学生運動にかかわった学生から発祥したという説もそれなりに信憑性があるように思えてきます。いうまでもなく、このゲームでは大富豪になった者が勝ちです。学生運動というとプロレタリアート(労働者)の主導する社会を理想とする、みたいなイメージがありますが、そうした中で誕生したワリに、ゲームではみんな素直にあこがれの大富豪≠目指してしまってます。なんとなくイデオロギーを超えた人間の本音が垣間みれて面白いところです。

で、一番言いたいのは実はそのことでもなく、このゲームのルールについてです。日本発祥のトランプゲームの中で『大富豪』はもっとも親しまれているゲームで、そのため全国で様々なローカルルールが存在しているようです。そうした細部は置いておき、根本的なルールは「最初に手持ちのカードを全て使い切った者から勝者が決まっていく」というものです。つまり、この『大富豪』というゲームは、自らの資産(手持ちのカード)を競って減らすゲームであり、先に自ら富をゼロにした者が大富豪≠ニ呼ばれ勝者となります。学生運動時代に生まれたというところから、ここに皮肉めいたものも感じたりもしますが、もうすこし素直に考えてみると、どこか奥深いものを感じます。

老子は、何も持たないことは全てを所有することと同じである、というような思想を説いてましたし、イエス・キリストも「与えよ、さらば与えられん」と、得るためにはまず自らが他者に与えることが必須であるといっています。大雑把にいえば、古来からの多くの聖典では、多くを与えた者が多くを得るという見えない世界の法則に言及しています。仏教でいう無執着という考えもまた、単純に欲しいモノを諦めろ≠ニいう思想ではなく、執着しないほうが執着してるより多くを得るということを暗に示しています。先に自分を空っぽにした者から上がりになる『大富豪』というゲームのルールの中に、なんとなくそうした精神世界でのルールを感じた、ということであります。『大富豪』が人気のトランプゲームになったのも、そうした真理の欠片がルールの中に仕込まれているせいなのだろうか?とフト思った次第です。

メモ参考サイト
無料で遊べる『大富豪』(「ゲームのつぼ」様のサイトより)

まぁ、『ババ抜き』や『七並べ』も競って手持ちのカードを減らすゲームではありますが、その減らしてゼロにした者を『大富豪』と称する部分がスピリチュアルな示唆を感じるところです。そういえば『ひぐらしのなく頃に 解』のラストのクライマックスで、『ババ抜き』に関する台詞がとても印象に残っています。これもまた精神世界の深淵を貫くような暗喩があって感銘をうけました。大長編シナリオの画竜点睛ともいえる台詞でしたね。

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1840年に作られた風変わりなトランプの復刻版です。数札がすべてゲーテの作品に想を得た絵柄にスート(トランプのマーク)を組み入れたものになっているお気に入りのデックです。石版画っぽい妖し気な図案にワクワクしますね。いわゆる一般のカードは絵札(J、Q、K)が凝ったデザインですが、このカードの場合は上位札よりも数札がこのようにとても凝った作りになっていてとても面白いです。このような絵柄の中にスートを組み込むデザインのカードは「トランスフォーメーション(transformation 変容)」と呼ばれ、主に欧州のメーカーによっていろいろバリエーションが作られています。コレクターにとってなかなか魅力的なジャンルのカードです。写真のカードは、「GOETHE(ゲーテ)」というタイトルで、イタリアのLo Scarabeoというメーカーによる復刻版です。現在でもアマゾンや楽天などで入手可能です。

トランプ自体は前々から神秘主義的な背景をもったカードという魅力があり、コレクションもしていて個人的になみなみならぬ存在であるのですが、それに加えて昨今話題の絶えない第45代アメリカ大統領が奇しくもプレイングカードの日本での呼び名と同じトランプさんということで、今回の記事も含め、何か自分の中で今年はトランプ≠ェいろんな意味でキーワードになりそうな気がしています。
posted by 八竹釣月 at 03:36| Comment(0) | ゲーム

2013年11月13日

ゲーム四方山話

目ファイナルファンタジー10 HDリマスター
個人的にFFのナンバリングの中で最も好きなFF10のHD版の発売がいつのまにか決定してました。「HD版など出ない」「HD版の噂はデマ」などとささやかれてきたので正直諦めてましたが、スクエニさん流石です。今年の12/26発売ということなので、もうすぐですね〜 寺院巡りの観光気分にまた浸りたいです。FF10のキャラの中で最も好きなのは隠し召還獣のアニマです。FFらしからぬダークでグロい召還獣ですが、そこがまためちゃくちゃカッコイイです。手足が拘束された異常な風体も素敵ですが、「目」から発する衝撃波のカコン!という金属音にもシビれます。シーモアの専用召還獣だとばかり思ってたので、アニマを手に入れて自分で操作できるのを知ったときはすごく嬉しかった記憶があります。HD版でアニマの勇姿をまた楽しみたいです。ちなみにメインパーティーのキャラの中では哀愁のダンディ中年アーロンが渋くて好きです。公式サイト

目rain
購入を考えてるところで、まだ未プレイです。発売中のPS3専用の作品「rain」。PS3で配信されてたトレーラーを見て「ICO」や「風ノ旅ビト」を思わせる感触に惹かれました。迷子になってしまい、姿を失って透明人間となってしまった主人公が、雨が降る夜の街を冒険して行くというシナリオのようです。この雨の街には、もうひとり姿を失った少女がいて、彼女と共に、謎の真相に向けて冒険がはじまる、ということで、このあたりも「ICO」っぽいノリを感じますね。キャラ人気に頼りがちな昨今のゲーム界において主人公自体が見えないというマイナスとも言える要素を前面に出して挑むクリエイター魂に拍手したいです。見えない主人公をどうやって操るのかというと、この舞台には終始雨が降っているので、雨に打たれているときにはうっすら輪郭が浮かび上がり視認できるようになっているようです。主要なモノなのに姿の見えない状態を描いた作品というと、今年の2月に他界されたゲームクリエイター、故・飯野賢治の作品に「エネミー・ゼロ」という姿が見えない敵と戦うゲームがありましたね。こちらの場合は敵の居場所を「音」で感知するというアイデアでしたが、私には難しくてクリアできずに放置したままです。「rain」公式サイト

目STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)
アニメ化もされたようですが、そちらは未見です。当初XBOXのみの販売で、ものすごい話題になってましたから、早くPS3に移植されないか待ち遠しかった記憶があります。知らないうちにすでに移植されてたようで、忘れかけた頃に急に気になって購入して、一気にプレイしました。序盤は「評判ほどグッとこないな、自分には合わなかったのかな」と思ってましたが、例のまゆりのアクシデントを境に一気に物語が面白くなりますね。そのまま勢いでクリアしました。やたらに漫画的に個性の強い濃いキャラが多く、最初はとまどってしまいますが、貧乏学生が電子レンジや携帯電話などの日常的な機器を使ってタイムマシンを作ってしまうという設定が面白く、また、宇宙物理学や量子論などをうまくアレンジしたトンデモ理論も、けっこうちゃんと練られていてソレッぽい理屈になっており、衒学的なノリが楽しかったです。LHC(大型ハドロン衝突型加速器)を使用してミニブラックホールを造る実験は、実際に科学系のニュースで、5次元世界の提唱で話題になったリサ・ランドールの記事で読んだ事がありましたが、そのような科学好きならニヤリとさせられる要素が多いのも特徴ですね。システム的には、あまり分岐もなく、スムーズにシナリオを進めていけるのでストレス無くプレイできました。トゥルーエンド以外に隠し(?)シナリオもあり、計6本のエンドが用意されていて、それぞれ切り口の異なったタイムトラベルSFのバリエーションを見せてくれて面白いです。序盤のなにげない細かいエピソードは巧妙な伏線になっていて、後半どんどんそれが回収されていきます。10年ほど前にネット上を騒がせた「未来人」、ジョン・タイターが作中にも描かれていますが、このゲームシナリオでの「時間論」の骨子もジョン・タイターの論をアレンジしたものになっていますね。ジョン・タイターの面白い所は、ネット上で一般のネットユーザと受け答えをしていて、それなりにリアリティのある「未来人」を演出していた事です。公式サイト

目Heavenly Sword (ヘブンリーソード)
神々が創りし剣「ヘブンリーソード」を巡り、対立する勢力との攻防を軸に描かれる、ナリコとカイのふたりの女性キャラが主人公のアジアンチックなアクションアドベンチャー。肝心のふたりの主人公が日本人ウケする容姿ではないのと、シナリオのボリューム不足が原因なのか、それほど人気作ではないようで、中古ショップでけっこう安値で手に入りました。発売当初に体験版をプレイしていて、背景グラフィックの美麗さにずっと購入を考えていた作品でした。実際プレイしてみると、やはり東洋的な風景の美しいグラフィックにうっとりします。作品の背景になる「場」の描写って、けっこう重要な要素なんだなぁと改めて思いました。まだ未クリアですが、それほどクリアまでのボリュームはないらしいので適当に進めてみたいと思います。肝心のアクションも、無双っぽい感じの爽快なもので、思ってたより楽しいです。カイのボウガン操作は体験版をプレイしたときから難しいな〜と思ってたんですが、ふとオプション設定でコントローラーの傾き検知機能をオフにしてアナログコントローラーで操作したらスンナリ上手くいきました。公式サイト
posted by 八竹釣月 at 12:37| Comment(0) | ゲーム

2012年12月23日

至福のゲーム

Wiiプレゼントシリーズとは?
Wiiをプレゼントされて喜ぶ世界各国の子供たちを撮影したホームビデオが数年前からYouTubeにアップされ、日本とはケタ違いの子供の歓喜のアクションに注目が集まりました。それらの動画は『Wiiプレゼントシリーズ』と呼ばれているようです。見てて幸せな気持ちになります。

Wii をゲットして歓喜する子供たち 総集編
誰かの言葉に「幸福について考える者は不幸な者たちである」というのがあったと思いますが、まさしく、「幸福」とは何か?という宗教的でもあり哲学的でもある永遠の難問に対する答えは、理屈で考えてもナンセンスで、このような動画の子供たちのように、実にシンプルなものなのだろうな、という実感を感じます。幸福とは考えるものではなく感じるもので、それは日々の生活の中のあらゆる場面で起こりうる奇跡なのだろうなぁ、と思わせてくれます。

こういう動画を見てると、ゲームについていろいろ思い出したり考えたりしてしまいます。そういうわけで、好きなゲームの話をだらだら書こうと思います。ほとんどはゲームファンなら誰でもよくご存知の作品ばかりですが、自分の中でのベストは以下のゲームで、これらは何度もプレイするほどハマったものだけを挙げました。お薦めリストというほど客観的なリストじゃないので、たんなる感想文と思ってください。最近はあまりゲームをやらないので古いものが多いです。ひさびさにプレイしたのは『風ノ旅ビト』で、これは以前レビューしたので詳しくは書きませんが、これも自分の中では稀に見る大傑作のひとつです。宗教的な超越体験をゲームでプレイヤーに体験させてしまうような作品で、ゲームというのはこんなにも可能性が秘められたジャンルなのか!?と驚愕し感動しました。

※以下対応機種の表記は自分のプレイ環境のことで、実際に対応してる機種を全て表記したものではありません。

『どろろ』発売元・セガ (プレイした機種・PS2)発売年・2004年
原作より先にこのゲームをやりました。あまりの面白さにクリア後に手塚治虫の原作を読みました。原作は1967年に開始されましたが少年漫画にしてはとても重い内容だったため当時は受け入れられず不運にも尻切れで連載が終わってしまい事実上の未完の作品となっています。このPS2版のゲームは原作のその後もオリジナルでシナリオが追加されており、「もうひとつの『どろろ』」として素晴らしい作品になっています。ストーリーは若干変更されてる部分がありますが、改悪ではないように感じました。声優の演技も素晴らしく、システムもマップもなかなか面白くできています。個人的に気になるマイナス点はロードの長さくらいです。

『バイオハザード4』カプコン (PS2、PS3、Wii)2005年〜2011年
世界的人気を誇るバイオハザードシリーズの4作目。言わずと知れた傑作。ゲーム史上屈指の名作といえるでしょう。好き過ぎてPS2、PS3、Wiiの3つのハードそれぞれのエディションのバイオ4をやりました。3つともすべて隠し武器ゲット。一本道のマップのくせにかなり戦略性に自由度があり、救済措置も多く素晴らしいシステムで、未だに根強く支持されてる理由も納得の超名作です。ニコ動にアクセスする理由のほとんどはバイオ4関係の実況や攻略関係だった時期がありました。ナイフ縛りをはじめとするバイオ4の縛りプレイ動画はハマりました。マーセは全キャラで未だに6万前後で、たまに10万超える程度の実力です。バイオシリーズはナンバリングタイトルとコードベロニカをプレイしました。6はまだやってません。6より先に、気になっている往年のアウトブレイクをプレイしてみたいです。

『サクラ大戦』セガ (SS[セガサターン]、PS2)1996年
このシリーズは4までやりましたが、好みなのは1と2です。3、4もゲームとしては面白いのですが、舞台が外国になるので、帝都東京を舞台にした大正ロマンとスチームパンクという部分から少し逸れてしまったのが個人的には残念だったところです。シナリオはとくにマニアックな蘊蓄は無く、普通のエンターテインメントになっています。ゲームの流れはアドベンチャーパートと戦闘パートが交互にある感じです。戦闘は正方形の升目にそってキャラの個々の機体を動かして敵とターン制で戦うシミュレーションシステムで、ゆっくり戦略を練りながら遊べるのでけっこう楽しいです。

『ブルーシード 〜奇稲田秘録伝〜』セガ (SS)1995年
原作の漫画はアニメ化もされてるようですが、どちらも未見です。ゲームはカードバトル形式なんですが、花札のような感じで絶妙な偶然性と戦略性があって楽しいシステムです。シナリオが諸星大二郎風味の伝奇ものなのもツボでした。日本各地に出現する「荒神」と呼ばれる太古の鬼神を人知れず討伐していく警察組織「国土管理室」のメンバーを中心に日本神話をモチーフにした伝記ロマンが展開されていきます。主人公の女の子がバトルシーンでこれでもかとパンチラしたり、日本各地に隠された動物柄の女児パンツを一定枚数集めると裏技が使えるようになるというへんてこなシステムなどもユニークです。ドット絵のマップも楽しく、音楽もいい感じです。

『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』チュンソフト (PS2)2002年
シリーズ全てプレイしており当然1も好きですが、シリーズ中では2が最も好みです。1の舞台は雪国のペンションですが、2の舞台は孤島の怪しげな館となっています。2の最大の魅力は本編よりも充実したサブシナリオです。オマケシナリオという次元ではなく本編並みに力がはいった作りのものばかりで、サブシナリオのためだけに用意されたエフェクトやグラフィックも多く、とても贅沢な作りです。とてもハマってしまい金の栞が出るまでやって、2はほぼ味わい尽くしました。2は推理ものが好きな人より、伝奇ホラーが好きな人にお勧めしたいゲームですね。サブシナリオへの分岐は、あいかわらず必然性のない選択肢から入っていくので、私はズルして分岐ポイントはネットでカンニングしました。本編もそれなりに面白いですしサブシナリオはさらに面白かったですね。『陰陽編』『底蟲村編』あたりが好みで、中でも寺山修司の実験映画を思わせる『妄想編』の狂気をはらんだ演出が凄過ぎです。これにはとても感銘を受けました。

『街 〜運命の交差点〜』チュンソフト (PS)1999年
絵でなく写真をメインにしたグラフィックで、当時はそれもかなり目新しい試みだったように思います。思ってたより違和感はなく、実写のグラフィックも意外にハマるんだな〜と感心した覚えがあります。当初の売り上げは大ヒットとまではいかなかったものの、その作品の完成度の高さに根強く支持するファンも多く、2008年には後継的な作品『428 〜封鎖された渋谷で〜』が発売されます。こちらもなかなかの佳作で面白い作品に仕上がっています。
『街』は、渋谷の街を舞台に8人の全く別の主人公による個別のシナリオを平行して進めていくゲームです。それぞれの主人公の行動は、別の主人公の行動になんらかの影響を与え、それがお互いにゲームの進行を邪魔することもあれば、先に進むための必要条件にもなったりします。8人の主人公は、ホラー風、推理風、コメディ風、サスペンス風と、バラエティ豊かなそれぞれ個別のユニークなドラマがあり、どれもが充実して面白いです。中でも好きなシナリオは『オタク刑事走る!』と『七曜会』です。シナリオには、各キャラのシナリオにジャンプするためのキーワードや、TIPSと名付けられた用語解説へのリンクが貼られていますが、そうした用語解説さえもこだわりのある素晴らしい名文が多いです。ユーモラスなものからシリアスなものまで多彩ですが、例えばダンカン演じる『シュレディンガーの手』のTIPSのひとつにシナリオ中の「囲繞(いじょう)」という言葉を解説した以下の文章があります。ドキッとするような箴言ですね。
かこい、めぐらすの意味。われわれは常に何かに囲まれている。たとえば空気。たとえば人。たとえば抑圧。たとえば悪意。たとえば恐怖。たとえば憎悪。たとえば死。たとえば殺意。たとえば欲情。たとえば嫉妬。たとえば絶望。たとえば病。たとえば嫌悪。たとえば孤独。たとえば不信。たとえば愛。

『ファイナルファンタジーX』スクウェア (PS2)2001年
FFシリーズは7、8、9、10、12、13だけプレイしています。その中で最も好きなナンバーが10です。ちなみに次に8が好きです。もともと現実世界との接点の無い舞台である異世界ファンタジーは好みではなく、そうした舞台の多いRPGというジャンルはほとんど未開拓です。ですが10はそうした食わず嫌いのユーザーでさえ惹き込ませる魅力があります。往々にして異世界モノは独自の固有名詞があふれて、ファンタジーに馴染みの無いプレイヤーには世界観に浸りずらいハードルになるんですが、10の主人公は、まさにそうしたRPG慣れしていないプレイヤーの分身です。序盤主人公は「シン」と呼ばれる怪物の圧倒的な力により未知の世界に放り込まれてしまいます。未知の世界「スピラ」で主人公ティーダは、プレイヤーといっしょに「スピラ」がどういうものなのかを体験していくわけです。「スピラ」は、どこか東南アジアを思わせるところがあり、観光気分に浸れて気持ちいいです。音楽もとても素敵な曲ばかりです。主人公はブリッツボールという水球のような異世界の競技のプロ選手で、見栄っ張りで女好きの軽い男です。性格としてはしょっぱなから感情移入しづらいキャラなのですが、彼の軽さは徐々に先入観を持たずに問題と対峙する勇気に変わり、頼もしく成長していき、いつしか主人公を応援している自分に気づきます。バトルがターン制なのも好きな理由のひとつですね。急かされずに進めていけるシステムなので世界観をじっくり楽しませてくれます。

『クロス探偵物語』ワークジャム (PS)1999年
これも傑作ですね。すべてのキャラクターの個性が生き生きと描かれ、推理モノですが謎が解けた後でも何度もプレイしたくなる作品です。グラフィックは玉置一平の劇画調のタッチなのですが、これがまたとてもシックリはまっていて、使い回しできそうな同じアングルの絵でも毎回着てる服が変わったりなどの細かい演出があり、とことん丁寧な作りに感動します。全7話で、すべて面白いのですが、4話がゲーム要素の無いサウンドノベル、6話がダンジョンものというのは、バラエティ感を出すための無理矢理っぽい要素に感じました。でも、このような傑作にそういう不平を言うのはあら探しをしているような申し訳なさすら感じます。何度か続編の噂もありましたが、結局叶いませんでしたね。主人公黒須剣の父親の謎の死の解明というのが伏線にあり、それは続編以降で解明される予定でしたから、ファンとしては残念でなりません。

『EVE burst error』シーズウェア (SS)1997年
『EVE』シリーズの原点バーストエラーは、当初18禁アダルトゲームとして1995年にPC98版で発売されましたが、私のプレイしたのはPS2版のバーストエラープラスとサターン版です。PS2版はディスクの入れ換え作業がいらないので一番プレイしやすいですが、エッチなセリフや描写がとことん削られてやや不自然なところがあり、サターン版のほうがまだオリジナルに近いのかもしれません。この作品の醍醐味はぞくぞくするサスペンス描写で、貧乏探偵の小次郎と、内閣調査質に所属する敏腕エージェントのまりなのふたりのエピソードを交互に進めていくアドベンチャーものです。いたって際立った特徴の無いありふれた小都市の片隅で巨大な陰謀が忍び寄っていくムードが素晴らしい。選択肢の総当たりで進めていく一本道のシナリオなんですが、無駄な選択肢を選ぶ苦痛を感じさせることが無く、むしろ、変な選択肢を選んでナンセンスなキャラの独り言を聴くのが楽しさのひとつだったりします。『EVE』シリーズで菅野氏が手がけたのはバーストエラーのみで、他はそれぞれ別の方が脚本を書いていますが、シリーズそのもののファンでもあるのでほとんどプレイしています。『The Lost One』『ZERO』『TFA』、どれも楽しかったです。2006年の久々の新作『EVE new generation』は衒学サイエンスな蘊蓄がとても面白かったです。まりな編での癒し系キャラ本部長のボイスは名声優野沢那智さんが担当していましたが、先頃お亡くなりになってしまい、今後EVEシリーズではあの声が聞けないのかと思うと喪失感を感じます。

『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』エルフ (SS) 1997年
かつて「YU-NOは自分の中で駄作だったが、市場のポジティブな評価を知って自信を取り戻した」という菅野氏の発言があったようですが、個人的には菅野作品中の傑作中の傑作と言っても過言ではないかと思っています。その衒学的でミステリアスなシナリオは絶品でした。斬新なシステムのゲームでしたが、昔のゲームにありがちな不親切さが玉に傷で、シナリオ分岐などを間違えるとかなり面倒臭いことになります。私は、たまたま古本屋でゲットしたPC版の攻略本兼画集を見ながらクリアしました。カンニングしてでもクリアする意味のある素晴らしいシナリオでした。このような大傑作が現行ハードでリメイクされないのは権利関係などいろいろ事情があると思いますが、とてももったいないことだと思います。『EVE burst error』『YU-NO』以外では『デザイア』も好きな菅野作品です。

『ひぐらしのなく頃に・祭』アルケミスト (PS2)2007年
これも超有名な作品ですね。竜騎士07の出世作である同人ゲームのPS2リメイク版です。原作が発表されてから口コミで人気は拡大していき、商業的にもメディアミックス展開され、ついには映画化に至る大ブームとなりますが、その内容の過激さで社会問題のように騒がれたのは記憶に新しいです。この作品は一見推理ものであるかのようなノリがあるのですが、本質は推理ではなく世界観そのものにあります。いくつかのエピソードに別れていますが、この連作のような構成そのものにトリッキーな仕掛けがあるので、実際にシナリオを進めていってそこに気づいた時とても衝撃を受けました。作者による二重三重の仕掛けが張り巡らされていて、とても感動しました。序盤のノリは寂れた寒村で体験する伝奇ミステリーのような様相で、諸星ファンの私のようなプレイヤーには最初から心を鷲掴みされました。私が感じた難点は、主人公グループがたびたび「部活」と呼ばれる遊びを放課後などにするんですが、そこの描写がとても冗長なところですね。他にPS2版では原作の最終章が「祭囃し編」ではなくオリジナルシナリオ「澪尽し編」に入れ替わったのもちょっと残念な部分です。それ以外は大満足な傑作でした。今まで声優を気にしたことがなかったのですが、この作品で声優の見事な演技に感動して関心が高まりました。アニメ版は原作をけっこう端折っていますが、個人的にはそうした冗長さを省いていて見やすくなった美点のほうを評価したいです。

『御神楽少女探偵団』ヒューマン (PS)1998年
これと『続・御神楽少女探偵団』でひと繋がりになっている推理アドベンチャーです。以前江戸川乱歩の記事を書いたときにも取り上げましたが、これも好きな作品なのでリストに残そうと思います。少年探偵団の少女バージョンのような設定で、名探偵御神楽時人(みかぐら ときと)の元に集まった少女探偵たちの推理劇です。内容は昭和初期を舞台に乱歩的な猟奇犯罪を描く本格推理モノの複数のシナリオで構成されています。絵柄は可愛い感じのアニメ絵ですが、なかなか昭和レトロな雰囲気を上手く出しています。

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他にも好きな作品は多いですが、今回はとりあえず思いついた作品順にレビューしました。

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『ルール・オブ・ローズ』のレトロでロリータでシュールな世界は、ゲームというより芸術作品のようです。『ICO』もゲーム史に確実にその名を刻むであろう傑作ですね。
posted by 八竹釣月 at 10:04| Comment(2) | ゲーム

2012年03月24日

DLゲーム「風ノ旅ビト」をプレイ

私はそれほど熱心なゲーマーではなく、最近はバイオ4と5のミニゲーム「マーセナリーズ」をたまにプレイする程度ですが、このほどPS3のオンラインストアで気になるゲームが。

砂漠に、スナフキンみたいな飄々とした感じの細身のキャラが立っている画像、タイトルは「風ノ旅ビト」、直感的に良ゲーのニオイを感じました。値段も¥1000とリーズナブルなので、数日前に思い切って購入し、たった今クリアしました。これはかなりの良ゲーですね。素晴らしい!

DLゲームで先頃話題になった「flawery」を創ったメーカーの新作で、ゲームの操作感覚は「flawery」と似て直感的でわかりやすく、今回も台詞などの言葉による演出は全く無いです。場の空気感に身を任せて美しい光景の中を疾走して観光するヒーリング感覚あふれる傑作で、今回は人間型のキャラを主人公にしてるので、前作より移入度が高くて楽しいです。

おそらく「ICO」が好きな人なら楽しめると思います。当の「ICO」のゲームデザイナー上田文人氏も「“暇つぶし”のコストパフォーマンスではなく,“感動”のコストパフォーマンスの高い稀有なゲーム」とこの「風ノ旅ビト」を絶賛しているそうですが、クリアした方の多くはその言葉に納得できるのではないでしょうか。まずは「何をすればいいのか?」を手探りで見つけて行くのが序盤の楽しみなので、先入観無しにプレイしてほしいゲームですね。クリアすることだけが目的ではなく、まさに、そこに至るまでの「旅」を楽しみ、言葉によらない物語を味わうゲームです。あせらずマッタリと作品とつき合っていくうちに、えも言われぬ高揚感をプレゼントしてくれます。

キャラや建造物はイスラム美術やエジプトの壁画などがモチーフになっているような感じで、エキゾチックで神秘的です。まさに、ゲームという表現形態を借りたアートという感じの作品でした。

『風ノ旅ビト』 Official Trailer
http://www.youtube.com/watch?v=E6XAhalsY5g
posted by 八竹釣月 at 05:15| Comment(0) | ゲーム

2011年12月14日

ゲーム「うみねこのなく頃に散 真実と幻想の夜想曲」 (PS3)

「うみねこのなく頃に」PS3版の完結編が明日(12/15)発売になるようです。いい機会なので、いつか書こうと思ってたこの作品のレビューを書いてみようと思います。

明日発売になるのは前作『うみねこのなく頃に~魔女と推理の輪舞曲~』の続編にして完結編。もちろん前作はプレイ済み。原作はすでに完結していて、こちらはすでにクリアしてるので、ストーリーはもう判ってるのですが、PS3版のウリはなんといっても豪華声優陣によるフルボイス。シナリオはキャラの感情表現がすごいので、声優さんたちの声の演技に期待が高まります^^ 竜騎士07さんの絵も味があって好きですが、PS3版の整理されたアニメ絵と緻密な背景画も臨場感を高めそうで期待してます。

物語は、おおざっぱに言えば、ある孤島での殺人事件をめぐる特異な推理劇で、何が特異かといえば、その事件の謎が、人間が人為的に起こしたものなのか、魔女が魔法で行った事なのかが判然としない中、主人公たちが謎と直面していかなければならない所です。基本的にそうした部分が軸となり、壮大なロジックの魔境がエピソードごとに構築されていく凄い物語です。物語は、いわゆる「メタ・ミステリー」なのですが、メタ的な部分を面白く娯楽表現として見せるという曲芸を描ききった作者の手腕に感服しました。

殺人は人間の仕業か、魔女の仕業か?というナンセンスとも思える二極構造は、実際にプレイしてみると、そうナンセンスなものではなく、魔女側もそれなりにロジックに縛られた存在として描いているので、理性的な推理合戦を見事に成立させています。私が一番ハマったのは、幼い魔女・真里亞と、主に中盤以降で活躍する縁寿のエピソードで、作者が高等魔術をかなり理解していることをうかがわせる描写が頻出するところです。魔法というのは、一面では「妄想」「心理的な錯覚」なのですが、魔術師にとっては「究極の真理」「拡張された現実」です。作者は、どちらの立場を優遇することもなく、双方の言い分にそれぞれ深い理解を示していて、ある意味、それらの立場は水と油なのではなく、不可分なコインの両面なのだという深い思索を感じました。

魔法という、難攻不落とも思えるロジックに立ち向かう主人公側の武器は主に通常の探偵モノのような合理的な推理にもとづく論理学的思考です。この作品では、多角的な考え方のアプローチ、思考するためのツールがたくさん提示されるのも楽しいところです。
作中で魔法の行使にかかわる条件のひとつに「反魔法の毒素」というキーワードがあります。これは、「魔法を信じてない人間がたくさん近くにいると魔法は効力を失う」という、アンチ・オカルトの立場から見ればなんとも言い訳じみたものにしか聞こえないものですが、なかなかに秀逸な「魔女の弱点」の提示です。信じる心がなければ奇跡は起きない。なんともロマンチックな視点ですね。

「ひぐらし」に負けないくらい今回も残忍なグロ描写がノリノリで展開される部分もありますが、「ひぐらし」同様に、その残忍さの彼岸にある崇高な人間の精神も鮮やかに描いています。プレイ中は、まさに魔法にかけられたように作中の世界に吸い込まれ、楽しい時間が過ごせました^^ 付け加えると、音楽もいいですね〜 豊富な楽曲が、場の雰囲気を盛り上げ、臨場感や、感情移入を誘います。
PS3版のボイス付きで、またあの世界に浸ってみようかなと思います。
posted by 八竹釣月 at 10:07| Comment(0) | ゲーム