2022年08月13日

螢石・魅惑の立方体

蛍石(ほたるいし)の名前の由来は加熱すると発光し、割れてはじける様子がまるで蛍のようだということのようです。また常温でも稀に紫外線を当てると発光するものもあり、これは不純物として含んだ希土類元素によるものです。紫外線で蛍光する石というと蛍石以外にもアダム鉱、カルサイト、玉滴石、オパール、石膏、ベニト石、ジルコン、などがあり、こうした蛍光鉱物にブラックライトを当てると光ります。蛍光とかの面白い性質をもったものも鉱物の魅力のひとつですね。

蛍石の英名はFluorite(フローライト)で、これは蛍石が製鉄などで鉱石を流動化する溶剤として使われてきたために「流れる」を意味するラテン語「fluo」が由来になっている名称のようです。そういう点では和名の蛍石のほうがロマンチックで情緒を感じる名前で、この石の魅力をいっそう引き立てているようにも感じますね。

そういえば、ゲーム『街』での「馬肉」についてのTIPSで、「(馬肉は)色が桜色なので、桜肉ともいう。ちなみに、猪の肉のことを牡丹(ぼたん)、鹿の肉のことを紅葉(もみじ)ともいう。生臭い肉に花の名前を付けるなんて・・・日本語って美しい。」※1というものがあったのを思い出します。無機物である鉱物にも、蛍石をはじめ、天青石とか銀星石や孔雀石などポエティックな和名が付けられているものがあり、こういう名前の魅力もまた鉱物に惹かれるきっかけになったりしますね。

※1 「馬肉」についてのTIPS
このTIPSが出てくるのはゲーム『街』の馬部編のバッドエンドのテキストです。たしか盗品の宝石の換金のために馬部が三次の替わりにヤクザに大阪に連れていかれて、そのままその資金で大阪で馬肉料理店を開業して成功するというエンドだった気がします。このバッドエンドのBGMがなぜか「かまいたちの夜」の香山さんのテーマなのも笑えます。

ということで、今回は鉱物コレクションの中から蛍石の一部を適当に選んで撮った写真を並べてみました。



220813_Fluorite.pngミントグリーンの涼し気な蛍石

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複雑にからみあったキューブの集合体。まさに自然の生み出すアートですね。


220813_Fluorite.pngレモンイエローの可愛い蛍石

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モロッコ産。レモンイエローの蛍石とピンクの重晶石とのコンビネーションが可愛いです。



220813_Fluorite.pngブルーグリーンの端正な蛍石

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中国産。蛍石の立方体の結晶がきれいに出ています。



220813_Fluorite.png透明感のある淡い緑の蛍石

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鉱物の結晶は、眺めていると異世界の造形物のように見えてきて、SF的な空想がふくらみます。




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2017年01月17日

鉱物学教科書(昭和7年)の博物画

この間の古本市で見つけた昭和7年(1932年)の鉱物学の教科書『中等鑛物界教科書』をご紹介します。この教科書はカラー図版も多く、内容も学術的な記述だけでなく、採掘の様子や、化石についても書かれていて、ページをめくっているだけで楽しくなってきます。

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『新選 中等鑛物界教科書』理学博士・加藤武夫著 富山房発行 昭和7年(1932年)
天青石といっしょに撮ってみました。右下の星形の模様のついた円盤形の石はウニの化石です。


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中扉

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「宝石と飾石」
レトロな印刷の風合いのある鉱物画に戦前の旧字体で名称が入っている感じがなんともいい感じです。電氣石の「氣」とか、蟲入琥珀の「蟲」の字とか、耽美なレトロ感にグッときますね。これらは宝飾に使われる石なので見た目にも華やかです。


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「非金属鉱物」
蛍石(フローライト)や燐灰石(アパタイト)、黒雲母など、幾何学的に奇麗に整った結晶の形がカッコイイです。鉱物の最大の魅力は、この幾何学的な美ですね。人間の生活圏にある自然は、曲線や不定形なものに満ちた世界ですが、地下の世界にはこのような正確に角度を守った直線や磨いたようなフラットな面に囲まれた鉱物が埋もれているというのは不思議な気持ちになります。地球という劇場は、そのバリエーション豊かな表現で、人間を飽きさせることがありません。


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「鉱石類(その一)」
工業的な用途に使われる鉱物は「鉱石」と呼ばれます。輝安鉱、方鉛鉱、黄鉄鉱など、メタリックに輝く結晶はどこかSFチックなニュアンスがあって面白いですね。


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「鉱石類(その二)」
シダの葉のような植物的な模様に結晶するしのぶ石は、ものによっては水墨画のような風流な絵画のように見える模様に結晶するものなどもあり、ピクチャーストーンという名前で目にすることもありますね。


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鉱物の中には、ある特定の方向に剥げたり割れやすい性質を持つものがあり、この性質を「劈開(へきかい)」といいます。紙のように薄くはがれる雲母などがソレです。図は、劈開の説明に添えられた方解石。


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電気石(トルマリン)の図。グリーンやブルーやピンクなど透明感のある奇麗な色のバリエーションのある石で、主に宝石に使われます。日本では福島県などで漆黒の電気石が産出されてました。

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方解石(カルサイト)の図。モース硬度は3とあまり硬くないので宝飾には使われませんが、色も形も様々なバリエーションがあり、鉱物コレクターに愛されている石のひとつです。

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蛍石(フローライト)の図。キューブが組合わさったような結晶の形がユニークな鉱物です。劈開で割ると8面体の可愛らしい形になります。最初から8面体で結晶することもありますが、かなりレアです。ピンク、ブルー、グリーン、パープルと、奇麗な色のバリエーションがあり、紫外線で蛍光する面白い性質のあるものもあるので、鉱物コレクターにとても人気のある石です。

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花崗岩の割れ目に結晶している様々な鉱物の図。(イ)は長石、(ロ)は水晶、(ハ)は雲母です。いろんな鉱物が固まって生えていて、鉱物の遊園地みたいな楽しい雰囲気ですね。こういう標本欲しいです。

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瀝青炭(れきせいたん)層中に直立して残る植物化石。瀝青炭というのはいわゆる石炭のこと。ジュール・ヴェルヌの物語に出てきそうなロマン溢れる眺めですね。鉱山の見学してみたいです。

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別子銅山(べっしどうざん)坑内採掘場。別子銅山は愛媛県新居浜市の山麓部にあった銅山で、1690年に発見され1973年(昭和48年)に閉山しました。この教科書は昭和7年のものですから、この当時は現役で採掘されてたのでしょうね。

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孔雀石(マラカイト)の図。緑色の石で、同心円状の縞模様が孔雀の羽に似ていることから孔雀石と名付けられました。模様も面白いですが、形も、ボールのような球状、ツララ状、針状など、採掘場所によっていろいろユニークな形のものが見つかったりしています。

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繊維状構造を示す赤鉄鉱(ヘマタイト)の図。

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中生代(約2億5217万年前〜約6600万年前)の化石。化石は、何億年も前の太古の生物の形状を現代にリアルに伝える時空を超えた記録であり、いわば過去の時間が結晶化した物体ともいえるでしょう。地下に埋もれている「地球の記憶」を、人間が発見するという行為は、地球が人間と言う器官を使って自らの過去を思い出そうとする行為でもあるような気がします。

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貨幣石の断面。まさにコインのような面白い形ですね。貨幣石は有孔虫の一種ヌンムライトの化石。
posted by 八竹彗月 at 09:47| Comment(0) | 鉱物

2016年07月31日

鉱物浪漫「中等鉱物界教科書」

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「三訂 中等鉱物界教科書」理学博士・加藤武夫著 冨山房発行 大正9年(1920年)

先日古本市でいい感じの大正時代の鉱物学の教科書を見つけましたのでご紹介します。レトロな鉱物画と旧字体のハーモニーがたまりません。大正時代の学校制度は現在と違って初等教育以外は全ての国民が同じ事を学ぶ感じではなく、庶民とエリート、男子と女子などに細分化された振り分けがされていてややこしいです。この教科書は中等学校で使われたもの。中等学校は12歳から修業する5年制の学校のようですね。近代的産業化の黎明期だけあって当時は鉱山開発も活発でしたでしょうし、鉱物学も国民が早い時期に教わる重要な教養だったのでしょうね。

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オーストラリア産のジプサム(石膏の結晶)といっしょに撮ってみました。

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水晶の銅版画をあしらった扉。センター揃えの普通のレイアウトながらも、旧字の逆読みする横書きのムードにシビれてしまうのは、まさしく古書ならではの時の魔法≠ナすね。

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教科書なので、序盤には鉱物と岩石の違いとか6つの結晶系の説明など、鉱物学の基本的な定義が書かれています。あたりまえですが、大正時代だけあって古めかしい言い回しで説明しているので、鉱物好きならすでに知っている事でも新鮮な気分で読んでしまいます。

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古書コレクターにとっての鉱物学教科書の魅力の大半は、こうした素敵なカラー口絵によるものです。これは非金属の鉱物が並んだ図です。宝石になるような石が多く含まれるグループなので見た目に艶やかですね。サファイアを「サファイヤー(青玉)」、オパールを「貴蛋白石」と書いてあるのもいい感じです。また、電気石の「気」が「氣」な所や、蛍石の「蛍」が「螢」であるなど、旧字体の魅惑的な雰囲気にも惹き込まれます。

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中程のページに挟まれているカラー図版。これは鉱石を並べた図版です。「鉱石」という言葉は、漫画や小説では、鉱物をお洒落に言い換えた言葉≠フようなイメージで使われることが多いですが、鉱物学でいう「鉱石」というのは、建築や製鉄への利用など人間の経済活動に有益な鉱物(あるいはそうした鉱物を含有する岩石)を指す言葉です。逆に工業的な利用価値の無い鉱物を「脈石(みゃくせき)」と呼びます。装飾や美術などで使われる宝石類は鉱物学では鉱石と呼ぶことはないので、鉱石類の図版では地味目の石が多い感じになりますね。

お察しのように、上記にも書きましたとおり鉱石の定義は工業的に有用であるというアバウトなものなので、蛍石やダイヤモンドなど、宝飾だけでなく工業的にも利用される石などもありますから、学術的に定義された言葉ではありません。昔は脈石(役に立たない石)と呼ばれていたリチウムやベリリウムも、現代では半導体技術や音響関係の用途などに利用されるレアメタルとして有用性が見つかり、立派な鉱石に昇格しました。

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市ノ川鉱山で産出された輝安鉱のイラスト図版。日本刀のようなシブい魅力がたまらない鉱物です。輝安鉱は中国で多産されていますが、日本の誇る国産鉱物の代表格でもあります。市ノ川鉱山は現在は閉山していますが、かつては大きく美麗な輝安鉱が多産され明治時代に多くの標本が海外に流出しました。

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この図版では、輝安鉱の金属光沢を印刷で表現するためにシルバーの特色インキを使用しています。光が反射してギラリと光る感じが伝わりやすいように、スタンドの灯りでページを反射させてみました。

参考サイト
メモThe Giant Crystal Project Site(英語サイト)
市ノ川鉱山で産出された長さ60cmもある輝安鉱の結晶の写真が紹介されているページ。サイト名からも分かるように、このサイトは巨大な結晶の鉱物をテーマにしていて、ドイツの巨大な岩塩の結晶洞窟や、コンゴで採取された巨大な孔雀石など、インパクトのある珍しい画像が楽しめました。

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方解石のページに本物の方解石を置いて撮ってみました。

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瑪瑙のイラストと本物を並べてツーショット。

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やはり締めは水晶のページで。鉱物は、本物は本物の揺るぎない魅力がありますが、絵もまた別の魅力がありますね。
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2016年03月13日

鉱物標本

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標本箱というのは普通に生活している中ではあまり見かけるようなものではなく、もっぱら過去の記憶の中にある学校の理科室の思い出を想起させるような、ノスタルジックなオブジェであります。だからこそこの非日常物体である「標本箱」というものを自室の日常空間に招き入れたいという願望がありました。そんなこんなで、いつのまにかそうした願望を反映して標本箱がひとつ、またひとつと増えてきましたので、今回はその中から手近にあった箱をひとつご紹介してみようと思います。

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中国の湖北省黄石市にある大治鉱山から採掘された孔雀石。瑪瑙のように層状に堆積した孔雀石は標本でよく見ますが、このように細かい針状に集合したタイプはちょっと珍しいですね。

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メキシコのチワワ (Chihuahua)で採れたアラゴナイト(霰石)。こんな感じで珊瑚のような樹木状の成長の仕方をする場合が多いので、山珊瑚とも呼ばれていますが、昔海だった場所から化石化した珊瑚が採れることもあり、そうしたものも山珊瑚と呼ばれてたりするのでややこしいです。

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左上は中国産の緑鉛鉱、右上はメキシコのチワワ州ナイカ鉱山で採れた硬石膏。天青石が混じって空色に発色しています。左下はロシアのウラル山脈で採れた含クロムアメス石。細かい結晶が紫色にキラキラ輝いていてきれいです。右下はモロッコ王国のミブラダン、アトラス山で採掘されたバナジン鉛鉱。赤い六角形の結晶が群生している典型的なフォルムが可愛いです。

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オパールの原石。エチオピアのデランタ産。夢の世界に誘(いざな)われるような七色に輝く神秘の石。見る角度によって様々な色が見える「遊色効果」が最大の魅力です。オパールはとくに日本人が好きな石のようで、日本はかなり巨大なオパール市場だそうです。

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上のほうでも取り上げた含クロムアメス石を接写。

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アメリカのコロラド州産のアマゾナイト。グリーンがかった空色の端正な結晶が魅力的です。アマゾナイトいえば、スモーキークオーツ(煙水晶)と共生しているタイプの標本が、ものすごくかっこいいですね。このタイプはすごい人気なので高騰してるようです。いい感じのコンビネーションを見せる鉱物には、自然の生み出す美術品という感じの貫禄がありますね。

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椅子の写真に鉱物標本を座らせてみました。

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ひとつひとつの鉱物もそれぞれに個性的な魅力がありますが、こうして標本箱の中に収められることで、集合としての新たな味わいがでますね。コレクションとは分類し整理する「編集する愉しみ」ですから、標本箱というのはコレクションという概念そのものの象徴なのかもしれないですね。
posted by 八竹彗月 at 13:09| Comment(0) | 鉱物

2015年12月05日

大正浪漫な鉱物世界

大正時代に発行された『女子理科鉱物学教科書』をご紹介します。図版が多いので画集のように楽しめる教科書です。この教科書、銅版画の細密図版にもシビれますが、鉱物学のウンチクが旧字体、旧仮名遣いで書かれていて、そうしたところも時代を感じさせムード満点です。たまたま開いた澁澤龍彦の本に、鉱物結晶の魅力について上手く表現している文章があったので合わせて引用してみました。

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『女子理科鉱物学教科書』(竹島茂郎、近藤耕造:共著 目黒書店、成美堂:発行)大正10年(1921年)発行
手近にあった蛍石(左下)、砂漠の薔薇(左上)、水晶(右下)などと一緒に撮ってみました。


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金平糖などの飴細工の標本みたいなスウィート感あふれる大正浪漫な鉱物画の口絵。印刷のレトロな色合いが、鉱物美の魅力を引き立ててますね。

結晶こそは最も反自然的な自然の物質、つまり、最もユートピア的な物質なのである。(略)さらに結晶は美しく、硬く、しばしば透明で、老朽や凋落(ちょうらく。落ちぶれる事)を知らず、原初の単純性を固辞して、時の腐食にもよく耐えている。(略)ユートピストにとって、結晶が神の作品中の最も純粋なものに見えたとしても不思議はあるまい。

(p42 「プラトン立体」)
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澁澤龍彦『胡桃の中の世界』青土社 1974年


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水晶の版画。まさに鉱物界を代表する結晶美ですね。こんな美しいカタチで、しかも透明!しかも天然の造形! 自然というものが一流の芸術家であることをしみじみ感じます。

プリニウス(『博物誌』第37巻第9章)は次のように書いている。
「なぜ水晶は六角の面をもって形成されるのか。その理由を見つけ出すのは、角の頂点が同じ形をしていないことの理由と同様、なかなか容易ではない。面の艶やかさについては、いかなる技術をもおよばないほど完全である。」

澁澤龍彦『胡桃の中の世界』p44


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長石の図版。甲は母岩に群生している長石の結晶。乙は長石結晶の構造図。

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畳を積み上げたような奇景で知られる讃岐屋島の畳石。スケール感の比較のために描き入れてある麓の着物女性たちが絵画的でイイですね。畳石は四国の香川県高松市の観光名物のひとつです。行ってみたいですね〜

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花崗岩と安山岩の鉱物組成の比較図。ジグソーパズルっぽい感じが面白いです。一般に岩石も鉱物もいっしょくたに「石」と呼ばれますが、鉱物は結晶構造を持ち化学式で表せるのに対し、岩石は鉱物や化石などの混合物です。(岩石と鉱物の違い)

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石灰洞の図。石灰洞とは、いわゆる鍾乳洞のことです。地下の魔境っぽい感じでミステリアスですね。

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断層の脇を走る蒸気機関車がかっこいい。

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キング・オブ・鉱物、ダイヤモンドの解説ページ。ダイヤモンドという名前は、ギリシア語のアダマス(征服し得ない、屈しない)に由来するそうで、名前からして王者の石という風格です。地球上の天然の物質の中では飛び抜けて硬く、モース硬度は最高値の10です。モース硬度9はルビーに代表されるコランダムですが、9から10の差は他に較べ格段に飛び抜けてます。モース硬度は単に硬さの順番をあらわしているものなので、実質的な硬さの度合いを表すヌープ硬度(下図参照)ではその差がはっきり分かります。いかにダイヤモンドだけが異常に硬いかがわかりますね。また、屈折率(光を反射する度合い)も最も高いため、屈折率を最大限に生かすブリリアントカットされたダイヤの激しい輝きは生で見ると本当に奇麗です。まさに最強の鉱物ですが、原石は意外に地味な風情です。和名は「金剛石」ですが、うまくその硬質な美をあらわしてますね。

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モース硬度の実質的な硬さをヌープ硬度でグラフにしてみました。数字はモース硬度を表しています。

ダイヤモンドはつい最近までは、地球上で最も硬く、屈折率も最も高い孤高の石でしたが、最近アメリカの研究チームがダイヤをしのぐ硬さと輝きをもつ「Qカーボン」と呼ばれる物質を開発したそうです。記事によると、このQカーボンなる物質、「自然界に存在するとすれば、どこかの惑星の中心核しか考えられない」ほどのものすごい硬さのようですが、そんなとてつもないものを実験室で作ってしまう人間の知恵というか、科学の力に驚嘆しますね〜

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柘榴石(ガーネット)の原石。柘榴石は原石の状態ですでに宝石のようにカットされたかのような結晶の美しい鉱物ですが、多産される鉱物でもあるために比較的蒐集しやすく、鉱物マニアには定番コレクションといえる石だと思います。組成によって赤や緑など様々な色のものがあり、モース硬度もおよそ7(水晶とだいたい同じ硬さ。鉄が約5〜6)あるので宝石としても親しまれている鉱物です。

モノーによれば、「結晶が完全に一定の幾何学的な形を示しているのは、その巨視的構造が、それらを構成している原子や分子の単純で繰り返しの多い微視的構造を、直接に反映しているからである。言い換えれば、結晶とは、微視的構造の巨視的な反映なのである。」−−−−こう考えれば、古来、多くのユートピストや神秘主義者が結晶を愛好してきたのは、彼らが無意識の直感によって、物質の究極の構造を透視していたからだ、と言えば言えないこともないであろう。科学以前に、彼らは科学の真理を先取りしていたのである。

澁澤龍彦『胡桃の中の世界』p43
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