蛍石(ほたるいし)の名前の由来は加熱すると発光し、割れてはじける様子がまるで蛍のようだということのようです。また常温でも稀に紫外線を当てると発光するものもあり、これは不純物として含んだ希土類元素によるものです。紫外線で蛍光する石というと蛍石以外にもアダム鉱、カルサイト、玉滴石、オパール、石膏、ベニト石、ジルコン、などがあり、こうした蛍光鉱物にブラックライトを当てると光ります。蛍光とかの面白い性質をもったものも鉱物の魅力のひとつですね。
蛍石の英名はFluorite(フローライト)で、これは蛍石が製鉄などで鉱石を流動化する溶剤として使われてきたために「流れる」を意味するラテン語「fluo」が由来になっている名称のようです。そういう点では和名の蛍石のほうがロマンチックで情緒を感じる名前で、この石の魅力をいっそう引き立てているようにも感じますね。
そういえば、ゲーム『街』での「馬肉」についてのTIPSで、「(馬肉は)色が桜色なので、桜肉ともいう。ちなみに、猪の肉のことを牡丹(ぼたん)、鹿の肉のことを紅葉(もみじ)ともいう。生臭い肉に花の名前を付けるなんて・・・日本語って美しい。」※1というものがあったのを思い出します。無機物である鉱物にも、蛍石をはじめ、天青石とか銀星石や孔雀石などポエティックな和名が付けられているものがあり、こういう名前の魅力もまた鉱物に惹かれるきっかけになったりしますね。
※1 「馬肉」についてのTIPS
このTIPSが出てくるのはゲーム『街』の馬部編のバッドエンドのテキストです。たしか盗品の宝石の換金のために馬部が三次の替わりにヤクザに大阪に連れていかれて、そのままその資金で大阪で馬肉料理店を開業して成功するというエンドだった気がします。このバッドエンドのBGMがなぜか「かまいたちの夜」の香山さんのテーマなのも笑えます。
ということで、今回は鉱物コレクションの中から蛍石の一部を適当に選んで撮った写真を並べてみました。

複雑にからみあったキューブの集合体。まさに自然の生み出すアートですね。

モロッコ産。レモンイエローの蛍石とピンクの重晶石とのコンビネーションが可愛いです。

中国産。蛍石の立方体の結晶がきれいに出ています。

鉱物の結晶は、眺めていると異世界の造形物のように見えてきて、SF的な空想がふくらみます。