2014年03月03日

ひなまつり

三月三日はひな祭り。言うまでもない少女のための祝い事であります。この祝祭にはただならぬ関心があったのですが、うっかりしていました。もうそろそろ日付が変わろうとしているので、日付が変わらないうちに先行してアップしつつ、追記するというズルい技を使ってみました。

この日に関心が芽生えたきかっけは、寺山修司の映画「田園に死す」のワンシーンに衝撃をうけたからです。それは、川の上流から真っ赤な五段飾りの雛壇が流れてくるという大胆かつシュールなシーンで、物語そのものとは直接関係のないイメージ的なものだったと思います。かつて野坂昭如が何かのテレビ番組で、「日本映画は軽薄なものばっかり撮ってないで、初心に返って、川の上流から雛壇が流れてくるような凄いものを撮らないとダメだ!」みたいな事を言ってたのを思い出します。野坂氏もよっぽどインパクトを受けたのでしょうね。たしかに、あの映画では今どきのリアルな特撮以上にビックリするような演出がたくさんあって、今見ても新鮮な発見のある作品だと思います。

そんなわけで、「田園に死す」を見てからというもの、ひな祭りというものに呪術的なファンタジーを感じるようになり、気になるイメージになっていきました。雛壇も、よく見ると、博物館の陳列棚のような「ディスプレイされることで成立する構造的な美」であり、なかなかユニークなものです。段には、ヒエラルキーが存在し、身分や役割によって飾られるべき段が決まっているところも、樹形図的というか、魔術の図像で有名な「生命の木」に似たオカルティズムの趣を連想し、興味を惹かれます。

と、いうわけで、今回は、ひな祭り関連のイラストを中心に古本コレクションを紹介していこうと思います。

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昭和の叙情絵師、糸賀君子の描く可憐な少女。糸賀君子は昭和30年代前後に活躍した絵師ですが、現代ではあまり情報が無いのが残念ですね。勝山ひろしテイストの清純な色気のある少女画が素敵です。
「女学生の友」昭和28年 3月号 小学館

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(左)山本サダ:画 この絵師も、この時代の少女雑誌でよく見かける作家ですね。独特の憂いを含んだ儚げな少女画が魅力です。(右)松本かつぢ:画 中原淳一、高畠華宵、蕗谷虹児と並ぶ人気を誇った松本かつぢ。長谷川町子が世に出るきっかけをつくった人物でもあるようです。現代に通じる「可愛らしさ」の表現は、その後の少女漫画に多大な影響を与えました。
「少女の友」昭和25年 3月号 実業之日本社

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「修養カレンダー」の3月のカード。須藤しげる:画 「少女倶楽部」昭和3年1月号付録

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「女子幼稚園」昭和11年3月号の表紙 小学館

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「三月三日はひな祭り、女の子供のうれしい日」
「女子幼稚園」昭和11年 3月号 小学館

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「桃のお節句・人形のように、美しいお客で賑わうひな祭り」
鮮やかな色彩と、繊細かつシンプルな独特の線画は、戦前の絵本によく見られる画風で、とても惹かれます。
昭和9年発行の絵本「ヨキトモ」より

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(上)大きな 大きな おひな様。 (下)「三月三日、桃のお節句」の見出し。写真の雛壇、なかなか立派です。キャプションに「ぬけ出した雛さながらや雛の主」とあります。着物姿のおかっぱ少女が、まるで雛壇から抜け出た人形のように可愛らしい、と歌った一句。微笑ましい俳句ですね。
「幼年世界」大正6年 3月号 博文館

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昭和29年の教科書、「二ねんせい の おんがく」教育藝術社

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ひな祭りを題材にした4コマ漫画。
「小学三年」昭和23年 3月号 二葉書店

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「幼女の友」昭和10年 3月号の表紙。 幼女の友社

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観音開きのパノラマが壮観です。絵師はクレジットがありませんが、金子茂二先生の筆によるものだと思います。
「幼女の友」昭和10年 3月号 幼女の友社
posted by 八竹彗月 at 23:42| Comment(0) | 古本
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