2013年09月23日

鍵のかかる部屋

「鍵」のミステリアスなイメージは、妖しく人を惹き付ける魔力があります。ヨーロッパではアンティーク・キーは縁起物らしく、コレクターも多いようです。私は逆に鍵には魔物めいたダークなイメージを持っており、それゆえに惹かれるアイテムだったりします。以前トランプのコレクションにはまったのもそれと同じ理由です。

そもそも、人間が同じ他の人間を信用する生き物だったなら、ドアに鍵などいらないはずです。人は自らが大切にしているあらゆる所有物を部屋や箱に封印し、鍵をかけます。それは、自分以外の他者から所有物を守るためです。鍵とは、ある意味「不信」の象徴であります。

しかし、また別に、「封じられた真相への扉」を開ける、のような心理的な象徴といったポジティブな捉え方も同時にあり、鍵は、宝箱を開けたり、秘密のドアを開けたりする力をもった小さな魔術師とも言えると思います。

鍵は、それ1本だけでは意味をなしません。鍵には、それによって開けられる錠が存在します。鍵と錠という一対は、あからさまな性の象徴で、「貞操帯」というそのものスバリなアイテムもありますね。

前述のように、鍵は、その明らかな用途の明快性により、様々に「意味」を抱え込んだアイテムですが、それにハマる一番の理由は、そうした観念的な所よりも、様々な形状のバリエーションの面白さにより、「玩具性」を持っているからでしょうね。

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アンティーク・キーのレプリカ。

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「木曜の男」G・K・チェスタトン (「世界推理小説全集 5」昭和31年 東京創元社)
鍵はしばしばミステリー小説を象徴するアイコンとして使われてきました。たしかに、推理小説には密室トリックなど、鍵のイメージを彷彿とする面もありますが、それ以上に、推理小説の特性を象徴的にあらわしているイメージでもありますね。推理小説は、作中の探偵と読者がいっしょになって、どちらが先に作中に散りばめられた謎を解く「鍵」を探し当てるか、を競うゲームであるといえるかもしれません。

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「暗号の秘密」長田順行:著 (昭和49年 菁柿社:発行)
安野光雅による味のある鍵のイラストが表紙を飾っています。本の内容は、暗号の歴史や、暗号の種類や作り方、解き方など、暗号に関する興味深い雑学が納められています。

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「鍵のかたち・錠のふしぎ」企画・発行:INAXギャラリー名古屋 1990年

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同上「鍵のかたち・錠のふしぎ」より。鈴木一誌他による標本感覚あふれるセンスのいいレイアウトが光ります。

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「世界の鍵と錠」里文出版:編・刊 2001年
鍵の歴史や、様々な鍵の仕組みや形状などを写真をふんだんに使い紹介しています。カラーページも多く、ヨーロッパの味のあるアンティーク・キーや、日本の珍しい古い鍵がたくさん載っています。内容的に、この本と上記の「鍵のかたち・錠のふしぎ」は、鍵マニアにおすすめの逸品です。

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「KEYS Their History And Collection」Eric Monk (SHIRE LIBRARY)
英国の出版社、Shire Publicatoinsから刊行された鍵の歴史に関する本。珍しい鍵のイラストや写真が掲載されていますが、全篇モノクロです。

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「La Clef du secret des secret」Glyph:刊
アンティーク・キーのビジュアルと英訳された谷崎潤一郎の「鍵」のテキストがグラフィカルに構成されたビジュアル本。限定500部のうちの1冊。鍵穴の形でくりぬかれた深紅の表紙から覗く色っぽいメイドのイラストが妖しげです。全篇ピンクと黒の2色刷りの文庫サイズの小さな本です。

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「万国図案大辞典 20」国民図書株式会社 (昭和5年 万国図案大辞典刊行社)
昭和初期に刊行された美術資料の事典シリーズの中の1冊。この巻は1冊まるごと鍵と錠に関する図像だけで構成されています。大判の布張りハードカバーという重厚な造本も魅力的です。

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同上「万国図案大辞典 20」より。こんな感じで全ページたくさんの鍵が標本箱のように陳列されています。鍵マニアにはたまらない逸品です。

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鍵のモチーフが入った雑貨も好きです。

posted by 八竹彗月 at 20:01| Comment(0) | コレクション
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