2013年03月31日

奇想の陳列部屋

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『奇想の陳列部屋』パトリック・モリエス 著 市川恵理 訳 河出書房新社
去年の末に刊行された古今のヴンダーカンマー(驚異の部屋)を紹介する風変わりなビジュアル図鑑です。さすが河出書房新社、目の着けどころがいいですね。原本は2011年に洋書で刊行されている『Cabinets of Curiosities』で、これはその翻訳のようです。珍奇なオブジェが陳列されている棚というイメージはとても好みなので、ついつい衝動的に購入してしまいましたが、なかなか面白い図版や写真が多く、ビジュアル構成も大胆に大きくキチンと見せてくれていて良かったです。妖しい博物館のような部屋は理想の空間です。

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(左)『澁澤龍彦・夢の博物館』美術出版社 1988年 (右)雑誌『太陽』「澁澤龍彦の驚異の部屋」平凡社 1992年12月号

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澁澤龍彦コレクションの一部。
ヴンダーカンマー趣味に目覚めるきっかけになったのはやはり澁澤龍彦の部屋の写真ですね。系統だったコレクションを整然と飾るタイプにはあまり興味が無いですが、澁澤のように個人的な好みだけでいつのまにか集まってしまったモノたちが、別種の個人的な規則によって集積している様は、部屋という場にコーディネートされたインスタレーションのようで、魅惑の空間ですね。

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(左)『想像力博物館』荒俣宏 著 作品社 1993年
日本におけるヴンダーカンマー趣味の拡散には荒俣宏が大きく影響しているのではないでしょうか。この『想像力博物館』は、同名の博物館の建造計画書というか、奇想の博物館の案内書のようなコンセプトの変わった構成の奇書です。カラーページが無く、定価も高額なので、あまり広く周知されてなさそうな本なのが残念ですが、珍奇なビジュアルが満載のとても面白い本です。
(右)『シュヴァンクマイエルの博物館』ヤン・シュヴァンクマイエル 著 国書刊行会 2001年
風変わりなクレイアニメで有名なチェコのシュルレアリスト ヤン・シュヴァンクマイエルのコラージュ作品や立体造形などを収めた作品集。奇想のオブジェが満載で、底知れない才能を感じる作家ですね。

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『ENCYCLOPEDIA OF SOURCE ILLUSTRATIONS vol.1』Morgan & Morgan 1972年
19世紀頃の細密版画を収録したイラスト事典。テーマ別に並べられた図版が、まさに紙の上の博物館めいて面白いですね。

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『幼稚園えほん』秋田書店 1954年2月号
身近な驚異の部屋というのは玩具屋でしょう。誰しもが玩具屋の棚に陳列された種々のオモチャにワクワクときめいた経験があるのではないでしょうか。ヴンダーカンマーの原点、というか、こうした子供心が一見妖しい異端趣味にも見える奇想の陳列部屋に惹かれる本質なのではないか、と思います。
posted by 八竹彗月 at 23:58| Comment(2) | 新刊本
この記事へのコメント
先日はどうもありがとうございました^^

 いや〜引っ越しのために本の9割近くを処分した自分にとっては小さな本でも宝石のように見えますw
 渋澤さんは相当な趣味人というか奇人というかよくわからんのですが人脈も広く深くいろいろと探りがいのある人ですね、といいつつハマると怖いので深入りしないようにしている人なのでありますw

 オモチャ屋さん、本屋、レコード屋、骨董屋、雑貨屋と驚異の部屋はいろいろありますが老後はそんな店でもやってちまちま食える分だけ稼いで暮らしたいと思う今日この頃です☆
Posted by dekoya at 2013年04月03日 12:11
先日はありがとうございました^^ 楽しかったです^^
澁澤はその著書にハマるというより、彼の趣味嗜好に感化される面が大きいですね。鉱物、貝殻、少女人形、パイプ、西洋魔術、シュルレアリスム、などなど、私も澁澤の趣味に共感する部分が多く、尊敬する作家です。異端の作家と呼ばれ、サングラスにパイプという出で立ちも手伝って奇人のようなイメージはたしかにありますが、実際はお祭り好きの陽気な人だったそうです^^ 四谷シモンや金子國義など、埋もれた新人芸術家を青木画廊に紹介して世に出したりと、陰に回ってアンダーグラウンドカルチャーを活気づけていた人でもあり、相当なバイタリティを感じます。
Posted by イヒ太郎 at 2013年04月03日 22:51
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