2012年10月17日

異世界通信

最近は電子メールでやり取りする機会が増えて、切手の活躍の場も徐々に狭まりつつあります。便利さの追求は人間の当然の欲求であり、非難するつもりは毛頭ないのですが、新しい便利さの影で消えてゆきつつあるモノへの愛好というのもまた人間的なものです。覚めた見方をすれば、たかが小さな紙切れに過ぎないのですが、「切手」という人から人へ想いを伝える架け橋としての機能に、紙切れ以上の愛着とロマンをコレクターたちは感じているのではないかと思います。

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世界的文豪エドガー・アラン・ポーの肖像が描かれたアメリカの切手。そういえばポー自身を題材にした映画「推理作家ポー 最期の5日間」が上映中のようですが、評価がよければ見てみたいですね。

先日から目白にある「切手の博物館」で開催されている企画展のテーマが「宝石と鉱物」ということで、出かけてきました。展示だけでなく関連した切手も販売されてるのでいくつか購入しました。今回はそれらを中心にコレクションを紹介します。真面目なコレクターではないので、いつものようにあまりちゃんとした分類はしてません。私の好みに準じた切手だとついコレクションしたくなってしまいます。「色数が1〜3色とフルカラーでないこと」「幻想的なもの」「博物学的なもの」「好きな偉人」「銅版画のような細密線画」「クラシックなデザイン」「自分がはまった他の趣味と関連するテーマもの」「少女」「錯視画などのトリックアート」そして、なにより「切手らしい切手であること」。東欧の切手はとくに私好みで、チェコやルーマニアの古い切手が大好きです。機会があれば、またそのあたりのコレクションを紹介したいと思います。

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(上)2色刷りの色合いが絶妙なハンガリーの薔薇の切手。(下)トンガのバナナ切手。ヴェルベットアンダーグラウンドのジャケットアートをつい連想してしまいます。

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スウェーデンのトリックアート切手。シンプルな版画調の線画がカッコイイ。

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ソビエト連邦の鉱物切手。正方形の中に標本のように置かれた鉱物が良いですね。

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東欧の国エストニアの毒キノコ切手。真っ赤な背景色といい、右下のドクロといい、妖しげなデザインですね。好みのセンスです。

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ソビエト連邦の少女切手。可愛いです。

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フランスの少女切手。赤十字関係の切手はなぜか惹かれます。銅版画で描かれるクラシカルな少女の図像がまた素晴らしい。

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フランスの切手。版画調の奇妙な怪人の絵がユニークです。何をモチーフにしたものなのか興味がありますね。

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現在発売中の国際文通週間の記念切手。これは普通に郵便局で購入しました。

寺山修司は写真集『犬神家の人々』の中で、「出されなかった絵葉書」のシリーズを創作しました。郵便物のロマンティシズムを寺山流のポエティックな発想で作品化したもので、架空の消印まで自作しているこだわりが素晴らしいです。まさしく異世界通信といった様相の奇妙な絵葉書は、世界を知る事よりも世界の「未知」を発見する事のほうが断然興味深く面白いものなのだという彼独特の思想を反映していて惹き込まれます。

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『犬神家の人々』寺山修司 読売新聞社 昭和50年

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同上写真集より。「出されなかった絵葉書」というどことなくデリダなどのフランス現代思想を連想する哲学的叙情性がいかにも寺山的な感性で素敵です。
posted by 八竹彗月 at 18:34| Comment(0) | コレクション
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