2012年10月15日

盆栽

盆栽というと、漫画文化の文脈の中では、空き地で野球してる子供がうっかり近くの老人の庭にボールを投げ入れてしまい盆栽を倒されたカミナリ親父に怒鳴られるという、長谷川町子や藤子不二雄の漫画でお馴染みのシチュエーションにしばしば登場するアイテムで、老人の趣味の代名詞のようなイメージがなんとなくあると思います。昨今では、海外でも盆栽愛好家は増えているらしく、また相羽高徳さんの制作によるジブリのアニメみたいなファンタジックな盆栽アートが今年の3月あたりから世界各所で話題になったこともあり、老人の趣味というイメージも徐々に変化しているようにも感じます。80〜90年代に憩いの芸術家・沼田元気さんが盆栽のコスプレパフォーマンスで脚光をあびたこともありましたね。私もここのところ、なんとはなしに盆栽に惹かれています。今のところは自分で育てるのは無理なので、盆栽展などに出かけて見事な盆栽を鑑賞してみたいと思っています。

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雑誌『太陽』特集・盆栽 vol.197 1979年 平凡社
真柏(しんぱく)の盆栽。日本の産地は昭和初期にほとんど採り尽くされてしまって現在では国産の真柏は採取困難だそうです。

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同上

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同上
江戸時代の書『占景盤』に描かれた箱庭のようなユニークな盆栽。


盆栽は日当りのいいディスプレイ空間の確保や毎日の手入れ、剪定や肥料など育て方の知識が必要な煩瑣な趣味ですから、時間やお金に多少の余裕のある層の趣味になりがちなところもあり、それが中高年の愛好者が多い理由のひとつなのかもしれません。私も安い梅の盆栽を勢いで買った事がありましたが、手入れを怠って枯らしてしまった事があります。最初から整った形で売られている盆栽は、その美しさなりの値段が張りますが、小さい苗の状態から創意工夫で自分だけの盆栽を作るのが一番楽しそうですね。盆栽は、その名の通り盆の上に壮大な自然を表現する芸術で、鉢に植えられた植物によってミニチュア化された自然を楽しむ奥の深い趣味だと思います。いつかやってみたい趣味のひとつです。

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『盆栽の仕立て方』坂東澄夫著 金園社 1972年
草花や樹木を育ててゆく人の心は、朝な夕な一挙手一投足、植物に同化され、また植物の方も培養する人に同化して、まったく両者の呼吸がぴったり合ってこそはじめて完全に育て上げれるものであります。
このようにしてこそ、一枚の葉、一輪の花の貴さがわかり、愛らしさが増して、非常に意味深く感じられるものです。
水のかけ方、肥料のあたえ方も植物の要求を自然に了解することができてこそよく発育させることができ、その人自身の希望にそって仕立てあげることもできるようになるのです。
つまり盆栽培養者の楽しみとするところは、多年丹念に培養管理をつゞけて仕立てあげ、その成長を楽しむ長い年月にわたる計画的な娯楽であります。(同書より引用)



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『盆栽と京の庭』近代盆栽社 1979年

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同上

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同上
タグ:盆栽 古本
posted by 八竹彗月 at 15:58| Comment(0) | 古本
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