2012年01月07日

インビジブル・スカル

ブームも落ち着きを見せてきたトリックアート。生粋の異端美術好きの私にとっては、ブームに乗じて紹介されるたくさんのアーティストを知る事ができてよかったです^^ 小学校高学年の頃にダリにはまってずっとシュルレアリスムにかぶれていたせいか、ゴッホとかフェルメールとかの、いわゆる王道の美術史的なアートには全く興味がないです。もっぱら不思議でいかがわしくてうさん臭いトリッキーな異端芸術ばかりが大好物で、シュルレアリスムを筆頭にウィーン幻想派、世紀末美術、ネオダダ、メディカルアート、春画などのアウトローな芸術にとても惹かれてきました。そのような作品を見てると、ときおり日常とは別に存在する不思議な異世界にトリップするような怪しい魅力を感じます。

と、前置きはこの程度にして本題のトリックアートですが、これもまたアルチンボルト以前の昔から連綿と続く正統な美術史の傍流に位置する異端の流れで、その不思議で奇怪な作品群は「子供の遊び心」を捨てきれないまま大人になってしまった者たちへの玩具とでも言えるでしょうね。というわけで、今回はトリックアート関連のコレクションを中心に紹介していきます。

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絵葉書のコレクションより、ドクロの騙し絵を2枚紹介します。右は、あらゆる騙し絵系の本に引用される有名な図案なので、見た事がある人は多いでしょうね。アラン・C・ギルバート作の「All is Vanity(すべては虚飾)」という作品のようです。1900年前後の作と思われます。左はH・M・ローズ作の「Today And Tomorrow(今日と明日)」という作品。1908年とコピーライトがあるので、どちらも百年以上前のクラシックなトリックアートですね。

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この2枚も騙し絵マニアには有名な絵だと思います。左は少女と子犬をあしらった隠し絵で可愛らしさと不気味さが混交した面白い図案ですね。

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左は1894年のもののようです。時事ネタの風刺画のようですね。右はデューラーみたいな版画調のタッチがクラシカルで味がありますね。ヒネリのあるアイデアが面白いです。

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左は上記の右図と同じ作者でしょうか。どちらも下記で紹介してる1の洋書からの引用ですが画家のクレジットがないので不明です。右は「逆さ絵」で、上下を逆さにすると骸骨の顔になります。

トリックアート本コレクション
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1. 「CURIOPTICALS」Carlton Books刊 2009年
図版を大きく扱っていて、レア作品も多く収録されており、とても面白いです。アルチンボルトをあしらった表紙デザインも相まって一番好きなトリックアート集です。クラシカルなトリックアートが多いのも私好み^^
2. 「THE ULTIMATE BOOK OF OPTICAL ILLUSIONS」Al Seckel著 STERLING刊 2006年
表紙の絵は日本を代表するトリックアーティスト福田繁雄の作品。古今のトリックアートを幅広く紹介しています。400ページ近くあるので、かなりの見応えがあります。騙し絵も多く紹介されてますが、比較的錯視系の図版が充実してます。
3. 「錯視の造形-メノトリックス」白石和也著 ダヴィッド社 1990年
4. 「錯視芸術の巨匠たち・世界のだまし絵作家20人の傑作集」アル・セッケル著 創元社 2008年
値段は高いですが、トリックアートマニアにはたまらない1冊です。現代作家を中心に新しいトリック絵画の世界を堪能できます。
5. 「イリュージョン」エディ・ラナーズ著 河出書房新社 1989年
造本からすでにトリッキーで、真ん中のページから上下が逆になっており、右からも左からもページを開けるようになってます。中身も遊び心に溢れた構成で、図版も多いです。ビジュアルだけでなく、錯覚などに関する面白い情報も多く解説されていて、遊園地みたいな楽しい本です。
6. 「視覚の遊宇宙・目の玉トリック集312」キース・ケイ著 東京図書 1989年
7. 「視覚の魔術展」東京新聞・発行 1994年
8. 「安野光雅の画集」安野光雅著 講談社 1977年
安野光雅といえば、絵本作家としても一流ですが、福田繁雄と並んで日本を代表するトリックアートの巨匠でもありますね。
9. 「視覚と錯視美術」ロナルド・G・カラハー、ジャクリーヌ・B・サーストン著 美術出版社 1979年

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10. 「遊びの百科全書・2 アイ・トリック」種村季弘著 日本ブリタニカ 1979年
11. 「Inpossible Worlds 不可能な世界」ブルーノ・エルンスト著 TASCHEN 2006年
エッシャーの版画などでしばしば扱われる「不可能図形」をメインにしたトリックアートを多く紹介しています。
12. 「別冊サイエンス ものを見る心理」本明寛著 日本経済新聞社 1976年
13. 「Newton別冊 錯視完全図解」高森圭介著 ニュートンプレス 2007年
静止画なのに動いて見える絵など、錯視現象にスポットをあてた構成。豊富な錯視体験を味わえます。
14. 「絵葉書世界 テーマ・ふしぎ絵」カマル社
15. 「エッシャーの宇宙」ブルーノ・エルンスト著 朝日新聞社 1983年

※16〜18は手違いのため欠番です(^□^;
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中身は別にトリックアートの特集ではないんですが、こういうトリッキーな表紙には目が無く、つい表紙買いしてしまいます。
19. 雑誌「プレイハウス」ミリオン出版 創刊4号 昭和54年
20. 雑誌「OMNI」旺文社 創刊号 昭和57年
21. 雑誌「少年マガジン」講談社 1970年2月22日号

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22. 「スーパーエッシャー展 ある特異な版画家の軌跡」Bunkamura ザ・ミュージアム 2006年
展覧会の豪華パンフ、というか画集ですね。箱入りで、中にはエッシャーの画集と画家の足跡を追う感じのDVD、それと、エッシャーの作品によく出てくるハイパーだんご虫のフィギュア付き^^ エッシャーのトリックアートは数学的な緻密さがあって、まさに玄人のトリックアートと言えますね。ジャンル的には「不可能図形」シリーズや、「図と地の反転」をテーマにするシリーズの2種類が際立った才能を見せていて、ダリと並んでトリック美術の双璧のような人ですね。

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23. トランプ「ILLUSIONS IN ART」"Classic"&"Contemporary"の2セット  Y&B Associates Inc.
革製デックケース付き。日本語解説書入り。53枚×2の106枚すべて異なる騙し絵の図柄が使用されてます。
24. トランプ「BICYCLE ガフ・デック」
USプレイング社の「バイシクル」は世界で最も売れてるトランプの銘柄で、カードマジックでも定番のトランプですが、これはその「バイシクル」をベースに奇術用のエフェクトのために作られたマニア向け商品。使い方はマジシャン次第でいかようにも。普通のトランプが相手の手の上で奇妙な図柄に変化するマジックとか、そういう事に使います。これを買ったのはマジックのためにというより、シュールなデザイン性に惹かれてという理由が大きいです。まさにトリックアートですね^^
posted by 八竹彗月 at 17:03| Comment(2) | コレクション
この記事へのコメント
私も中学の美術の「教科書、副読本の中から好きな絵を模写せよ」という課題でダリの「燃えるキリン」を選んだぐらいで、謎かけのような異端美術はずっと気になってる世界です。(もっとも、美少女さえ描かれてたら、アカデミズムの権化たるウィリアム・ブグローの王道的絵画なんかも好きですが)

エッシャーは去年だったか、凝ったポップアップブックが出版されてましたね。子供向け書籍ですが、書店で開いてみたらなかなか精巧なつくりでした。


Posted by スカイエイプ at 2012年01月07日 21:43
「燃えるキリン」いいですね〜^^
異常に足が長いゾウとか、引き出しのある人体とか、ダリの作り出す奇怪なイメージは魅力的ですね。

エッシャーの仕掛け絵本もそうですが、こうしたアートの世界の作家の作品が玩具感覚で商品化されるのは不思議なテイストがあって楽しいですね。
エッシャーの図と地の反転図案が球体にレリーフ状に刻まれたオブジェを持ってますが、球体だけに安定性がなく、よくコロコロと転げ落ちます(^□^;
Posted by イヒ太郎 at 2012年01月08日 17:54
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