2011年11月09日

快楽機械

機械は人間の生活を便利にしてくれる実用的なモノですが、その用途に応じた必然的なフォルムに芸術作品のような美的なものを感じることも多いですね。真空管の並んだ古いテレビの内部構造、古い時計の歯車とゼンマイのハーモニー。また、一頃流行った「廃墟ブーム」では、錆の覆った配管がうずまく工場がしばしば被写体になるケースがよくありましたが、あれもまた機械的なフォルムに面白さを感じるからでしょうね。

機械は、なんらかの有用な目的達成のためのものですが、ナンセンスな機械というのもまた魅力的です。ピタゴラスイッチや映画「SAW」の拷問機械、タイムマシンなど、実現が不可能な機械や、実現してほしくない機械を空想するのも楽しいです。伝説の雑誌「血と薔薇」では「オナニー・マシーン」というテーマで、メカニカルにオナニーを手伝ってくれる機械のアイデアを数人のイラストレーターが競作するという奇矯な企画があって面白いです。

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学校が遠いため自家発電型ラジオで授業を受ける少女。松本零士の漫画にありそうな、ツマミやメーターのついた大きいラジオとリボンがかわいい少女の対比が面白い。
「オーストラリア」岩波写真文庫 1955年

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1910年頃につくられたX線装置。

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1895年の銅版画の商品カタログの復刻版(Dover社刊)より、拷問器具のような怪しげな湯沸かし付きバスタブ。

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美女と機械。昭和15年版「機械辞典」の巻末広告より。

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1913年、騒音機械を操作するルッソロと助手。ルッソロは未来派の芸術家。騒音を大都市だけのものにしておくのではなく、閑静な田舎にも騒音を。ということでノリノリで騒音芸術を提唱。なんとも迷惑千万な芸術ですね。ちなみに、当時のルッソロの騒音機械の貴重な音源を収めたCDを持ってますが、件の騒音楽器の音は掃除機みたいな音でした。

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「機械」平凡社ファンタスティックブックシリーズ 昭和49年より

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(左)星新一のSFショートショートでお馴染みの挿絵画家というと、和田誠と真鍋博が双璧ですが、その真鍋博のSFイラスト集「超発明」は、奇想天外な空想の機械がたくさん描かれていて未来の絵本のようなノリで楽しいです。
「超発明」真鍋博 講談社 昭和46年
(右)自虐をテーマにしたブラックユーモアなイラスト集。機械装置のモチーフばかりではないですが、毒のあるナンセンスが刺激的です。
「マゾヒストたち」トポール画集 澁澤龍彦・編 薔薇十字社 1972年

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(左)日本の生んだ未曾有の天才奇人・寺山修司の作品をビジュアル中心に構成したムック。彼の劇団「天井桟敷」の舞台美術を担当した小竹信節の珍妙な機械が第1章を割いて紹介されています。小竹信節といえば、舞台装置を担当した飴屋法水演出の演劇「ミュンヒハウゼン男爵の大冒険」を見た事があります。人間の役者はひとりも出演せず機械が主役の風変わりな前衛劇でした。
「寺山修司の仮面画報」平凡社 1991年
(右)永久機関、飛行装置、パノラマ装置など、いかにも寺山好みのうさん臭い機械が満載です。
「装置実験室」寺山修司・編 日本ブリタニカ 1980年

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劇団「ロマンチカ」、「エリザベート・バートリ」公演チラシ 1992年
エリザベート・バートリといえば実在したハンガリーの女版青髭公で、自らの美貌を保つため領地の娘を次々とさらい惨殺、バスタブになみなみと入れられた生き血で入浴したという話が有名ですね。人体から生き血を搾り取るために考案された「鉄の処女」といわれる拷問器具は彼女が作らせたという伝説もありますが確証はないようです。
劇団ロマンチカは退廃と耽美ただよう個性的な舞台が注目された劇団で、とても興味があったのですが、舞台は残念ながら一度も見てません。チラシの図柄は、バートリの拷問機械をモチーフにしたものでしょうか。デカダンなエロティシズムがぐっときます。
posted by 八竹彗月 at 09:39| Comment(0) | 古本
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