今回も本の背表紙の文字が読めない問題を解決する回です。本を売る場合は表紙のコンディションが一番気になる部分だと思いますが、たんに本を所有する一般人にとっては、本は読書する以外のほとんどの時間を本棚で過ごすため、背表紙のコンディションこそが最も重要になってきますね。
本の背表紙というのは、読書の時には手のひらに当たるので擦れますし、本棚に入れてあっても、直射日光を避けていてもなんらかの明かりに常時触れている箇所ですから、紫外線からのダメージでゆっくり退色していくのは避けられないところです。なので、本のパーツの中では背表紙は最もダメージを受ける箇所ですね。で、ありながら、背表紙は本棚に並べたときには探す時には重要なインデックスになりますから、本の所有者にとっては最も重要な部分といっても過言ではないでしょう。
で、今回も背表紙の読めないタイトルをどうにかする問題にまたまた挑戦することにしたのでした。ブログのネタにするつもりがなければ最初の段取りから写真を撮ったりしないわけなので、毎回記録を残してはいませんが、けっこういい感じに修繕できた時には、「写真とっておけばよかった!」と思うこともよくあります。なので、最近はブログネタにするしないにかかわらず、手の込んだ補修をする場合は、なるたけ記録しておくようになりました。本の補修も最初は面倒臭かったですが、やってるうちに意外と楽しくなってきますね。問題が解決したときの達成感も気持ちいいものです。
『人智学研究』第1号 1980年(昭和55年)11月15日発行 人智学出版社
先だって同社から発行されていた『シュタイナー研究』(1〜4号)の後継的な雑誌のようです。この『人智学研究』は3号まで出て休刊のようですね。
というわけで、今回は先日古本市で手に入れた『人智学研究』という、オカルト系の雑誌の背表紙を修復することにしました。人智学とは、オカルト界の巨星、ルドルフ・シュタイナーの提唱した思想のことで、霊的真理を科学的に探究し実践するための理論のようなものです。クロウリーとかブラバツキーなどほとんどのオカルティストはオカルトの世界への没入度が高すぎるためか、あまり一般社会への影響を感じることは少なくマニアの界隈で崇拝されるような存在ですが、シュタイナーの場合は、教育や農業や芸術などの、一般社会との接点のある思想を展開していったためか、比較的合理主義者からも一目置かれる人物であるところもユニークですよね。どことなく文学だけでなく農業、科学、音楽と越境したスタイルで自己探究をした宮沢賢治的な視点を連想するクロスオーバーな思想が魅力ですね。
とはいえ、そこはやはりオカルト界の巨人だけあって、常識的な範囲に収まる思想ではなく、けっこうぶっとんだ部分もある思想でもあり、かつ、難解なところもあるので、なかなか全体像のつかみづらい人物でもあります。まぁ、そういう謎めいたところや、つかみどころのなさこそ、人間の魅力的な部分でもありますから、逆にそういうところに惹かれるわけであります。
そうした意味でも、この雑誌は、人智学出版社という、総本山的な会社から出ているということもあり、内容も秘儀的なものから文学や科学からの視点での論評など、なかなかマニアックでそそる記事が多く、興味深いものを感じたのでした。
と、中身の話はこれくらいにして、さっそく補修に入りましょう!
前述のとおり、背表紙はこのように題字が読めません。元の状態が不明なので憶測ですが、日焼けのせいだけじゃなく、どうも題字の色使いも読み辛さの原因になってそうですね。
背表紙のオリジナルデザインを知ろうと検索してみたものの、結局背表紙のコンディションが良いものがヒットしなかったので、あまりオリジナルにこだわらずにアレンジして進めようかと思います。
表紙から裏表紙まで全体にかかるようなパターンが敷いてあるので、その位置の調整などのテンプレとして、一応背表紙をスキャンしました。
テンプレの上に文字を置いて、オリジナルと同じようにタイトルを入れてみました。やはり、元のオリジナルを踏襲するよりも、読みやすさを優先して自分用にアレンジしたデザインにしようかな、と思案。
左端がオリジナルに近いパターン。これでは、あまり視認性が良く無いので、右からに順にいろいろ試行錯誤したものを並べてます。そうしながら読みやすいデザインを思案しています。途中で、シンプルすぎてそっけないものを感じたので、出版社名や発行年などの要素を付け足してます。最終的に、右端のようなデザインで決定。
さっそくプリントアウトして切り出しました。
背表紙に木工ボンドを塗って、まんべんなく平にならして・・・・
こんな感じになりました。おお!意外と良い感じでは!?
ただ貼っただけでは汚れがついたり剥がれたりするかもしれないので、補強のために絵本用の補修専用テープをかぶせて貼りました。
完了!まぁ、とりあえず背表紙の題字も読めるようになりましたし、デザインも少しアレンジしたものの、オリジナルのニュアンスはそれなりに出ていると思います。
近くの本棚に入れて確認。そんなに違和感ないですね。
たまたまチベット仏教関連の本が並んでる棚で確認しましたが、またチベット仏教関連の記事も書きたいですね〜
ということで、今回は『人智学研究』の第1号の背表紙を補修しました。3号まであるようなので、うまく安価に見つかれば同じデータを流用できるので次は楽に補修できますね。・・・というか、補修する前提で言ってますが、コンディションが良ければ補修はいらないですよね(笑)
そういうことで、今回も御清覧ありがとうございました!