2025年11月04日

古書を補修してみました!「エッシャー作品集」編

年末近くになると、古本市や鉱物ショーなどの心躍る即売イベントが目白押しで、師走の差し迫った緊張を緩和させてくれますね。まぁ、ここ数年は懐具合も寂しいので自転車で行ける範囲に面白そうなイベントがあれば行くという程度になってきましたが。

手に入れたい欲しい本はありますが、どうしても欲しい!というような本は最近少なくなってきました。というより、その存在さえ知らなかったような面白い本に出会えるのが古本漁りの愉悦です。「見た事の無い面白いもの」と出会う快楽が安価に得られるのも古本市の楽しさですね。

神保町の古本まつりにはここしばらく足を向けてないですが、高円寺の古書会館にはちょくちょく出かけてます。マニアが集う中央線近辺の古書店が寄り合っているだけあり、100均コーナーでさえ掘り出し物がけっこう頻繁に見つかるのが醍醐味です。今回のエッシャーの作品集※も、なんと50円でゲットしました。ダメージといえばカバーの破れくらいだったので、さっそく補修を試みる事にしたのでした。


※今回のエッシャーの作品集〜
エッシャーは子供の頃から好きな作家で、作品集も何冊かもっていて、寡作な作家なのか、ほとんどの作品集にはお馴染みの作品が重複して収録されていますね。作品を楽しむだけなら、どの本もおおかたの代表作は収録されてるはずなので一冊あれば十分なのですが、飛び抜けて好きな作家の場合は、ブックデザインや編者の違いなどでググッとくるものがあればつい手が伸びてしまいます。今回は値段も値段だったので躊躇なくゲット!しました。検索でもあまり多くはひかっからない本なので、意外とレア本の予感が。海外のオークションサイトでは1万円前後で出品されてるようですね。だからどうということはないですが、表紙デザインもいい感じですし、今回もけっこう良い掘り出し物でした。

では、補修にはいりましょう!

今回補修するのは、1962年にハインツ・モース社から出されたエッシャー作品集です。本文がドイツ語なので、ドイツの出版社でしょうか。表紙にこの作品を持ってくるセンスがなかなか面白いですね。一目でエッシャーとわかる不可能図形の建造物やメタモルフォーゼシリーズではなく、あくまでタイトル文字などとの兼ね合いでデザイン的に映える作品をチョイスしたのでしょう。見事に物体として不思議な本≠ノなっていて愛着がわきます。全64ページとコンパクトな内容ながら、基本を押さえつつも変わった作品もちゃんとチョイスしていて中身の編集もいい感じです。60〜70年代はこういう冒険心のある出版物が日本でも多かったですね。いろんな面で世界中にチャレンジ精神で活気づいてた時代だったのでしょうね〜

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『M. C. ESCHER』Heinz Moos社発行 1962年

パッと見にはとくに問題なさそうに見えますが、今回も背表紙のダメージがひどいです。

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ちなみに表紙カバーをめくってみたところ。本体の表紙も黒と黄色という怪し気な配色でイイですね。

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このようにカバーの背表紙がボロボロになってます。
カバーデザインもシンプルながら味があって素敵なので、これを補修してみようと思います。

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と、その前に気になる箇所をちょこちょこと手を入れていきます。
破れている部分に裏から紙を貼り、ボンドでくっつけました。この破れ目に貼る紙は、ハサミやカッターなどを使わずに端を手でちぎっています。理由は、カッターなどで切ると、紙の厚みで段差ができるからです。手でちぎると、段差が小さくなるので、最近こうするようになりました。
ふさいだ後は、表紙のデザインに添って黒い部分をマジックで付け足して馴染ませました。

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カバーは、背だけでなく、周囲のあちこちに破れ目があるので専用の補修テープを小さく切って補修します。

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では、さっそく背表紙の補修です。背表紙のサイズを測って同じサイズの背を作成します。
上はバラ打ちした文字。下は元の書体と似たものに変換して大きさや文字の間隔などを調整します。背の題字の書体は特徴的なセリフの形なので、オーソドックスな欧文書体のひとつであるボドニ系の書体ですね。今回はBodoni Romanを使用しています。

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と、ここまできてミスを発見。文字の向きが逆だったので修整しました。
日本語だったら縦書きは縦組文字になるのでこういう間違いはないのですが、欧文のブックデザインでは文字のベースを右向きにするか左向きにするかは決まって無いので、ミスしやすい部分ですね。たしかに本棚を改めて見てみると、洋書はこういう文字の向きが違う本が混在します。また、洋書は題字も上から下に読むように配置するかどうかも決まってないので、下から上に読むように題字が印刷されてる本も普通によくありますね。そういう見地からすると、けっこう日本の本のほうが本棚に収まったときに見やすいですよね。日本語がタテにもヨコにも書けるというフレキシブルな文字なのは、こういうところでも便利ですね。一般に日本語は世界有数の複雑な言語だとかいわれますが、こうした利便性では意外と合理的な側面もあるんだなぁ、となんとなく感じました。

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ということで修正版です。
これをプリントしてカバーの背の部分に貼ろうと思います。

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プリントしたものを切り離して、置いてみます。まぁ、問題ないですね。

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ボンドで貼って、さらに補強を兼ねて専用の補修テープを上から貼ります。

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テープを貼るのは一発勝負なのでいつも緊張します。うっかりするとヨレができたり、ナナメにズレたりするのでドキドキします。今回はまっすぐに貼れたのはいいんですが、ちょうどど真ん中ではなく若干右に平行にズレてしまいました。まぁ、実際はこれで本体をくるむので、気にしなければ気にならないところです。すこしヨレができてしまいましたが、何度か上から擦って空気を抜いて目立たなくなりました。

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完成です。白地を元のカバーの黄ばみに寄せた色味にしたほうが
もっと馴染んだかな〜というのが反省点ですが、まぁ、とくに目立った失敗は無かった(嘘だッ!)ので今回もこれで良しということにしましょう。

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確認がてら近くの本棚に入れてみました。まぁ、そんなに違和感はないと思います。

では、このたびも御清覧ありがとうございました!

posted by 八竹彗月 at 11:48| Comment(0) | 古本
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