2017年03月04日

トランプゲーム『大富豪』について

専用ゲーム機でFFシリーズなどを遊ぶのも楽しいですが、面白ければ面白いほどゲームは「止め時」が難しく、ほんの時間つぶしのつもりではじめてみたものの、結果的に貴重な睡眠時間を削ってしまった、という経験のある人も多いと思います。そういうこともあって、ここ数年私は、花札やオセロなど、サッとプレイできてサッと止めれる無料オンラインゲームのほうがプレイする機会が多くなりました。昔からあるボードゲームやカードゲームの定番は、勝負がつけばそこで終われて、ロールプレイングやアドベンチャーゲームのようにいったんステージクリアしても「次のステージが気になる!」という後引きがありません。

前置きはそろそろ切り上げて本題に入りますが、そうした定番ゲームの中のひとつ、トランプの『大富豪』をオンラインゲームで遊んでいるときにフト思う事があったので、その勢いで記事を書いてみた次第です。『大富豪』というゲームは、なんとなく欧米とかで昔からあるゲームのように思ってましたが、(類似のゲームは海外にもありますが)一応日本発祥のゲームらしいですね。『ポーカー』とか『ブリッジ』などはいかにも海外のゲームといった名称ですが、『七並べ』も外国から輸入されたゲームのようです。で、『大富豪』は、Wikiの記述では、70年代あたりの学生運動が下火になりかけた頃に広まったゲームであるという、作家の三田誠広(みたまさひろ)氏の説を取り上げていますね。たしかに「富豪」、「平民」、「貧民」などに振り分けられたりとか、マルクスとかの階級闘争っぽい概念が垣間見えるネーミングで、なるほどといった感じがします。

そうして考えてみると、このゲームをスリリングなものにしているユニークなルールのひとつ「革命」など、モロにソレっぽい感じがしてきて、学生運動にかかわった学生から発祥したという説もそれなりに信憑性があるように思えてきます。いうまでもなく、このゲームでは大富豪になった者が勝ちです。学生運動というとプロレタリアート(労働者)の主導する社会を理想とする、みたいなイメージがありますが、そうした中で誕生したワリに、ゲームではみんな素直にあこがれの大富豪≠目指してしまってます。なんとなくイデオロギーを超えた人間の本音が垣間みれて面白いところです。

で、一番言いたいのは実はそのことでもなく、このゲームのルールについてです。日本発祥のトランプゲームの中で『大富豪』はもっとも親しまれているゲームで、そのため全国で様々なローカルルールが存在しているようです。そうした細部は置いておき、根本的なルールは「最初に手持ちのカードを全て使い切った者から勝者が決まっていく」というものです。つまり、この『大富豪』というゲームは、自らの資産(手持ちのカード)を競って減らすゲームであり、先に自ら富をゼロにした者が大富豪≠ニ呼ばれ勝者となります。学生運動時代に生まれたというところから、ここに皮肉めいたものも感じたりもしますが、もうすこし素直に考えてみると、どこか奥深いものを感じます。

老子は、何も持たないことは全てを所有することと同じである、というような思想を説いてましたし、イエス・キリストも「与えよ、さらば与えられん」と、得るためにはまず自らが他者に与えることが必須であるといっています。大雑把にいえば、古来からの多くの聖典では、多くを与えた者が多くを得るという見えない世界の法則に言及しています。仏教でいう無執着という考えもまた、単純に欲しいモノを諦めろ≠ニいう思想ではなく、執着しないほうが執着してるより多くを得るということを暗に示しています。先に自分を空っぽにした者から上がりになる『大富豪』というゲームのルールの中に、なんとなくそうした精神世界でのルールを感じた、ということであります。『大富豪』が人気のトランプゲームになったのも、そうした真理の欠片がルールの中に仕込まれているせいなのだろうか?とフト思った次第です。

メモ参考サイト
無料で遊べる『大富豪』(「ゲームのつぼ」様のサイトより)

まぁ、『ババ抜き』や『七並べ』も競って手持ちのカードを減らすゲームではありますが、その減らしてゼロにした者を『大富豪』と称する部分がスピリチュアルな示唆を感じるところです。そういえば『ひぐらしのなく頃に 解』のラストのクライマックスで、『ババ抜き』に関する台詞がとても印象に残っています。これもまた精神世界の深淵を貫くような暗喩があって感銘をうけました。大長編シナリオの画竜点睛ともいえる台詞でしたね。

170304-goethe_card.jpg
1840年に作られた風変わりなトランプの復刻版です。数札がすべてゲーテの作品に想を得た絵柄にスート(トランプのマーク)を組み入れたものになっているお気に入りのデックです。石版画っぽい妖し気な図案にワクワクしますね。いわゆる一般のカードは絵札(J、Q、K)が凝ったデザインですが、このカードの場合は上位札よりも数札がこのようにとても凝った作りになっていてとても面白いです。このような絵柄の中にスートを組み込むデザインのカードは「トランスフォーメーション(transformation 変容)」と呼ばれ、主に欧州のメーカーによっていろいろバリエーションが作られています。コレクターにとってなかなか魅力的なジャンルのカードです。写真のカードは、「GOETHE(ゲーテ)」というタイトルで、イタリアのLo Scarabeoというメーカーによる復刻版です。現在でもアマゾンや楽天などで入手可能です。

トランプ自体は前々から神秘主義的な背景をもったカードという魅力があり、コレクションもしていて個人的になみなみならぬ存在であるのですが、それに加えて昨今話題の絶えない第45代アメリカ大統領が奇しくもプレイングカードの日本での呼び名と同じトランプさんということで、今回の記事も含め、何か自分の中で今年はトランプ≠ェいろんな意味でキーワードになりそうな気がしています。
posted by 八竹釣月 at 03:36| Comment(0) | ゲーム
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: