2015年12月03日

花鳥写真図鑑

昭和5年に出版された『花鳥写真図鑑』という写真集をご紹介します。全編モノクロながら、造本が風流で、植物の解説を「日本植物学の父」といわれた牧野富太郎博士が執筆しています。

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『花鳥写真図鑑』第1集 岡本東洋:著 平凡社 昭和5年(1930年)
京都出身の写真家、岡本東洋の作品を全6巻に収めたもののうちの第1集目です。


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銀の表紙に風流な花鳥風月のイラストがエンボス加工されています。

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背表紙とトビラのデザイン。手書きレタリングの味のあるタイトル文字が本棚に栄えます。装丁は洋画家の辻永(つじ ひさし)。

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目次

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しだれ桜と着物少女。風情のある写真ですね。

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同上写真部分。岡本東洋は動物や植物の写真をライフワークにしていたようで、この本では人物写真はこの写真のみです。花鳥写真をテーマにした写真集ながら、この写真をあえて入れたのは、けっこう思い入れがある会心のワンショットだったのでしょう。

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花鳥風月で花といったらまずは桜でしょう。しかし、この写真集には代表格のソノイヨシノは一枚も載っていません。解説している牧野富太郎はこう述べています。

東京を主として今日では諸州に分布されている種類にそめいというのがあり、これは最も多く花がつき成長が早いので、花を早く咲かせるには便利な木であるが、やまざくらに較べると風韻に乏しい。


派手なソメイヨシノよりもヤマザクラに軍配を上げるところなどさすが植物学の権威といった感じの美意識とこだわりですね。牧野博士の解説では、ソメイヨシノは原産地も不明で、彼岸桜と大島桜の間の子らしいが、よく研究してみないとわからない、と書いています。現在はそのあたりはwikiなどには明確に記されてますから、すっかり桜の代表選手になったソメイヨシノもその素性は最近になってわかってきた部分も多いのでしょうね。

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藤の薄紫の花も優雅で高貴ですね。

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鴨とか牡丹とか。
posted by 八竹彗月 at 06:36| Comment(0) | 古本
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