2015年04月05日

さくらさくら

世の中にたえて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし

在原業平(825-880) 『伊勢物語』より


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桜が咲き、日本が最も日本らしく彩られる時期ですね。観光地でなくとも、普通にどこでも、公園や施設の庭や民家でも植えられていて、この時期ちょっと散歩してるだけで、そこかしこに桜の木が植えられていたことに気づかされます。

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「二ねんせいのおんがく」教育藝術社 昭和29年
古風で雅な響きの「さくらさくら」は、日本の伝統音楽という先入観がありましたが、幕末につくられたものらしく、意外に新しい歌なんですね。

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雪景色のように咲いた満開の桜に囲まれた道を歩いていると、ふと異世界に迷い込んだような錯覚をおぼえます。

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林唯一(はやし ただいち):画 「童謡と童画」國民社 昭和16年

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薄紅の白い団子状にゴージャスに開花したソメイヨシノ。日本では、桜といえばソメイヨシノですが、これも比較的新しい品種で幕末から明治初期にできた品種のようです。古今和歌集で歌われている「春ごとに 花のさかりは 有なめど あひみむ事は いのちなりけり(詠み人知らず)」は、ヤマザクラを詠んだもので、古典文学に登場する桜のほとんどはヤマザクラだそうです。ソメイヨシノは葉っぱを付ける前に一斉に花開くので、満開のソメイヨシノは雪景色のように見事に真っ白に風景を彩り、まさに豪快優美、花見にベストマッチな品種ですが、ヤマザクラの風情感もなかなか古(いにしえ)の日本を感じさせる趣がありますね。

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「欧州管弦楽合奏之図」楊洲 周延(ようしゅう ちかのぶ 1838-1912)

清水へ 祇園をよぎる 桜月夜 こよひ 逢う人 みなうつくしき
与謝野晶子(1878-1942)


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いかにも桜が似合いそうな古都、京都にふさわしい「桜石」。温泉地としても知られる京都府亀岡市稗田野町湯の花で採取されたものです。何年か前に鉱物のイベントでゲットしました。桜の花のような可愛らしい形に結晶しています。桜石は、菫青石(きんせいせき)が分解され六角柱状の結晶形だけを残して白雲母などに置き換わった仮晶です。

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こちらは母岩付きの桜石。可愛い形と銀に輝くシブイ光沢が日本らしい鉱物ですね。

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こういう時期に京都や奈良、あるいは伊勢神宮など、コテコテに日本っぽい場所で花見するのは最高の贅沢でしょうね。

桜花 ちらばちらなん ちらずとて ふるさと人の きても見なくに
惟喬親王(これたかしんのう 844-897) 「古今和歌集」
posted by 八竹彗月 at 01:05| Comment(2) | 雑記
この記事へのコメント
今年は桜を見に行けず、ほとんど楽しめなかったので残念。
>そこかしこに桜の木が植えられていたことに気づかされます。
...ボクも、開くまで気がつかないことが多々有り。通勤途中の街路樹も、開いてから「あ、桜だ」って感じでした。
Posted by あっきー ( t-aki ) at 2015年05月04日 06:33
花の咲く木は、花の印象が強くて、木肌と葉っぱだけではなかなか見分けられないので、開花して気づくことってけっこうありますね。
普段通り過ぎるだけの街路樹も、一斉に花開くと景色の印象がガラリと変わって、異次元の世界に迷い込んだような不思議感覚があって楽しいですね。
Posted by イヒ太郎 at 2015年05月05日 09:08
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