2015年02月20日

木星

「ワイン・・・」
「何がよろしいですか?」
「ジュブレ・シャンベルタン・・・2001年物だ。僕の友人のナポレオンが愛用してたやつ・・・」
「はぁ?」
「ねえ・・・・ジュピターには何時に着くの?・・・・木星には何時に着くんだ?木星には・・・・」

映画「蘇る金狼」ラストシーンでの松田優作の台詞です。松田優作演じる主人公朝倉が離陸直後の飛行機の中で搭乗員に問いかけるこの謎めいた台詞の余韻を残しながら映画は幕を閉じます。この台詞はまさに作品の画竜点睛といいますか、この台詞によって自分にとって忘れられない作品として記憶に刻まれる事になりました。原作の大藪春彦の小説が刊行されたのは1964年(昭和39年)、映画の公開は1979年ですから、2001年モノのジュブレ・シャンベルタンなどこの時点では存在しません。おそらく「2001年」というのはスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」のオマージュで、「人類が宇宙旅行を可能にしている時代」を意味する象徴的な年ということなのでしょうね。で、存在しないワインを要望するこの奇妙な前振りが次の「ジュピターには何時に着くの?」の台詞の奇怪さをいっそう際立たせ印象づけてます。ある意味、映像表現に匹敵するくらいの魔力を持った凄い台詞だと思います。映画自体も、真面目なサラリーマンという表の顔と、魔王のように野望を抱く裏の顔を持ったユニークな主人公の数奇な生き様を描くハードボイルドな物語で、とても面白いです。この映画の影響なのか、木星という天体にはひときわミステリアスなイメージをいだいています。そういうわけで、今回は木星について語りたいと思います。

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「科学クラブ」特集・星と宇宙の観察 昭和33年 2月号 発行:東雲堂
冥王星がまだ惑星扱いだった頃なので「9つの惑星」となってますが、準惑星という扱いになったのは2006年以降ということなのでけっこう最近の話なんですね。


新月木星石(ジュピター・ストーン)
鉱物に興味のある方ならご存知だと思いますが、下の画像は虎目石(タイガーアイ)を球体に研磨したものです。色合いや模様が木星っぽくて、眺めていると宇宙のロマンを感じます。他にもいろいろな鉱物の丸玉で太陽系をつくったら面白そうですね。青い石なら天王星っぽいですし、赤っぽいものは金星や火星に見立てられそうです。

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新月太陽になり損ねた惑星
太陽系の8つの惑星の中で最も巨大な星が木星で、「太陽になり損ねた惑星」という異名も、なんとなく「無冠の帝王」的でちょっとカッコいいですね。木星は立派な衛星をたくさん従えているので、見た目の風情も小さな太陽系っぽい雰囲気ですが、もし木星があと80倍重かったらホントに太陽のように燃え盛り輝きまくる星になっていたそうです。地球以外に生物が存在する可能性のある太陽系内の星は火星が有名ですが、他に土星の衛星タイタン、エンケラドス、木星の衛星イオ、エウロパなども期待できるそうです。なかでも木星の衛星エウロパは生命の可能性についてかなり期待されており、とてもワクワクする星です。生命を育む星まで従えているとなると、ますます太陽になり損ねた星らしい風格を感じますね。

「生物がいる可能性が高い太陽系内の星」 その1 その2 その3

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「気象天文図鑑」保育社 昭和26年

新月お前(地球)の背中は俺(木星)が守る!
人類は地球上でしか今のところ生きていけない宿命ですが、いかに地球が生命の進化に適した星とはいえ、巨大隕石などがぶつかったりすると人類はおろか一気に生態系そのものが破壊されてしまったりします。恐竜の絶滅の原因として隕石の衝突が原因であるという説もありますが、そういった避けようのない外部からの脅威というのは地球規模の懸念材料ですね。とはいっても、地球はいろいろな好条件により、比較的宇宙からの脅威から守られていますから、人類が誕生するくらいの長い間大きな宇宙的な脅威もなくやってこれたともいえそうです。まず、地球は大気の層が厚いので小さな隕石は地上に落ちる前に燃え尽きてしまいますし、衛星としては破格の大きさの月も、地球の盾となっています。さらに、木星の存在もけっこう有り難く、木星の強力な引力にひっかかった隕石などは軌道を変えられたり、木星に引き寄せられて衝突したりするので、その分、地球の安全に貢献しているといわれていますね。あの木星のシンボルともいえる巨大な人間の目のような大赤斑が、外部からやってくる敵にニラミをきかせているような感じで頼もしいです。

新月木星のメロディ
木星な気分(?)にひたれる音楽など。

るんるんホルスト「惑星」より「木星(Jupiter)」
木星アニキのテーマ曲といえばまずコレでしょう。カッコイイですね〜
そういえば、この不朽の名曲に歌詞を付けて表現した平原綾香の曲が近年ヒットしましたね。クラシックに歌詞をつけて歌ったものというと、パッヘルベルのカノンに歌詞を付けた戸川純の曲「蛹化(むし)の女」とか、ショパンの「別れの曲」をもとにしたシャルロット&セルジュ・ゲンズブールの「レモン・インセスト」などありますね。バッハの「G線上のアリア」もスウィートボックスのヒット曲「Everything's gonna be alright 」がありますし、あとベートーヴェンの「運命」をダンスミュージックにアレンジしたウォルター・マーフィーの「A Fifth Of Beethoven」も面白かったですね。

るんるんケプラーの惑星音階
ヨハネス・ケプラー(1571〜1630)といえばケプラーの法則などで有名なドイツの天文学者で、天文学の発展に偉大な功績を残した事で知られていますが、惑星をメロディとして表現するというユニークな試みもしています。ホルストのような音楽家としてのイマジネーションで作曲するようなアプローチではなく、いかにも科学者的な作曲で、太陽から惑星までの角速度の比を音に置き換える、といった手法で作曲されているようです。なので、音楽というよりは、惑星が実際に声を出して唸っているような、「惑星の鳴き声」みたいな奇妙な印象をうける音になっていて面白いです。
ケプラーの惑星音階のMIDIデータを公開されているサイト「音楽研究所」

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「気象天文図鑑」保育社 昭和26年

るんるん木星の音
NASAのボイジャーが記録した木星から発せられる電磁波を可聴域の音に調整したもののようです。荘厳でダイナミックな、まさに宇宙から何かの啓示を発しているような神秘なものを感じますね。
posted by 八竹彗月 at 03:10| Comment(0) | 宇宙
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