2020年09月29日

【音楽】ソウル・ドラキュラ!(エキゾチック音楽の愉しみ)

ふとしたことで出会ったタイの60〜70年代のバンドのコンピレーションCD「Thai Beat A Go-Go」というシリーズにハマったのをきっかけに、懐かしの曲とかお気に入り曲などを中心にアジアンな感じのエキゾチック感のあるサウンドをテーマに集めてみました。

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るんるんP.M. Pocket Music「Kratae」
60年代のタイのバンドのモンドでグルーヴィーな曲。出だしの怪し気なショッカー感がたまりません!60年代のタイのレア音源を集めたコンピレーションアルバム「Thai Beat A Go-Go vol.1」の収録曲。「Thai Beat A Go-Go」シリーズ、vol.3まで出ていますが、アルバムを通じて程よく洋楽のヒット曲のカバーが混ざっているので、コテコテの異国の音楽という感じではなく、あまり構えなくても抵抗無く聴きやすいのが魅力ですね。マーティン・デニーや山下毅雄サウンドなどが好きな方はハマるのではないでしょうか。タイの音楽というのは全く未知の世界でしたが、こうして聴いてるとけっこう魅力的ですね〜 日本の怪しいレア音源を蒐集している『幻の名盤解放同盟』が発掘したマリア四郎を知った時と同等の衝撃を受けました。



るんるんJump Jump「Yok Yok」
60年代タイのレアグルーヴ。マンボなリズムと「ヨッヨッヨッヨヨ」と不思議なフレーズが耳に残りますね。古い音源のいい具合にノイジーな雰囲気がモンドな味わいを深めています。コンピレーション「Thai Beat A Go-Go vol.2」の収録曲。



るんるんDon「Soul Dracula」
続けてタイの70年代サウンド。「Thai Beat A Go-Go vol.3」の収録曲。ヤマタケ感というか、特撮ヒーロー感というか、怪しくソウルフルな感じがかっこいいですね〜 この曲は70年代に活躍したフランスのバンドHOT BLOODの同名のヒット曲「ソウル・ドラキュラ」のカバーで、HOT BLOODのこの曲は当時日本でも大ヒットしたようです。原曲もそうとう怪し気ですが、タイのカバーもオリジナルを軽く凌駕する怪しさで面白いですね。

メモ参考リンク
HOT BLOOD「ソウル・ドラキュラ」



るんるんMartin Denny「Firecracker」
YMOの曲でお馴染みの「ファイアークラッカー」のオリジナルです。マーティン・デニー(Martin Denny 1911〜2005)はアメリカの音楽家。エキゾチカ・サウンドの代表的なアーティストですが、日本ではやはりYMO経由で知る人も多いのではないでしょうか。「ファイアークラッカー」は中国の祝い事で鳴らす爆竹をイメージしたユニークでグルーヴィーな曲で、マーティン・デニーの曲の中でも傑出した名曲ですね。細野さんが惚れ込んだのもうなづけるエキゾチカの名曲だと思います。というか、この曲が世界に広く知らしめることとなったのはYMOの貢献もけっこう大きいんでしょうね。



るんるん林笛「午夜单车」
スウィングジャズ風の軽快なギターが気持ちいいモダンな曲です。林笛(リン・ディー 1975〜)は中国上海のミュージシャン。数年前に聴いた中国の現代のポップスを集めたコンピレーションで知った曲です。アルバムもあるようなのでそのうち聴いてみたいですね。



るんるん許冠傑(サミュエル・ホイ)「半斤八两」(Mr.Booのテーマ)
懐かしの1976年の香港のコメディ映画『Mr.Boo! ミスター・ブー』(原題:半斤八两)のテーマ曲。曲の途中に入る犬の鳴き声っぽい音が印象的ですが、これが本当に犬の声なのか、もしかしたら香港だけにヌンチャクの風を切る音とか?などとずっと気になってました。和訳を見ると「上司はいつも犬のように吠えている」という歌詞の後に例のSEが入るので「アノ音は犬(という意図のSE)でよかったんだ!」とやっとスッキリしました。ユーモラスな曲調で、聴いてると楽し気な気分にさせてくれますが、歌詞は不景気な毎日への愚痴がえんえんと語られている感じなんですね。斎藤ひとりさんの言うところの「地獄言葉」をふんだんに盛り込んだ歌詞ですが、悲壮感がないところがいいですね。外国の曲って歌詞を知ってイメージとのギャップで二度美味しい作品ってけっこうありますね。ちなみに原題の「半斤八两」は中国語で「似たり寄ったりでたいしたことがない」を意味するようです。斤と两は中国の重さの単位で、昔の中国の計量法では一斤が十六两だたっため、半斤と八两は目方が同じ、という所からきている言葉のようです。「五十歩百歩」よりくだけたニュアンスなのでしょうか。なかなか洒落てますね。

メモ参考リンク
Mr.Booのテーマ「半斤八两」の和訳(yahoo!知恵袋)



るんるん鳳飛飛「太湖船」
鳳飛飛(フォン・フェイフェイ 1953〜2012)は台湾の歌手、女優。曲は一昔前にサントリーの烏龍茶のCMで使用されたことでも知られる中国の民謡「太湖船」です。広大な湖を静かに進む一隻の船を詠う風流な歌詞と楽曲で、けっこう有名な曲のようですが、作曲者や制作年は不明だそうです。

メモ参考リンク
桃源郷・東洋のユートピア幻想
桃源郷をテーマにした記事で以前「太湖船」に触れた部分があるので、一応リンクしておきます。



るんるん江戸川蘭子「上海リル」
江戸川蘭子(1913〜1990)は、松竹歌劇団などで活躍した昭和の女優、歌手。あがた森魚の初期の傑作アルバム『 噫無情 ( レ・ミゼラブル ) 』(1974)にこの曲のカバーが収録されていて、それがきっかけで知った曲でした。「上海リル」は昭和の懐メロというイメージでしたが、オリジナルは1933年のアメリカ映画『フットライト・パレード』の主題歌として作られた曲のようです。そういえば似たような題名の歌に「上海帰りのリル」というのがありますが、これは「上海リル」に後年影響を受けて作られた日本のオリジナルだそうです。上海というとアニメ「ジョーカー・ゲーム」などで描かれてるような、妖しくエキゾチックな魔都というイメージがありますが、「上海リル」もまさに日本人にそういうイメージを定着させた一曲ですね。まぁ、上海は世界有数の大都市ですし、日本人も多く住んでるようなので、実際は普通に大都会な感じなのだと思いますが。

メモ参考リンク
Footlight Parade (1933) – Shanghai Lil (Full Scene)
映画『フットライト・パレード』での当該シーン。
posted by 八竹彗月 at 06:19| Comment(0) | 音楽