2015年11月25日

【音楽】The Snake

最近よく聞く曲から気持ちよさげな曲を選んでみました。

るんるんHorst Jankowski「When The Girls Go Marching In」
可愛らしいコーラスが素敵な曲です。ホルスト・ヤンコフスキー(1936〜1998)はドイツのピアニスト。

るんるんAl Wilson「The Snake」
パワフルでカッコイイR&Bです。キャッチーなメロディに惹き込まれます。アル・ウィルソン(1939〜2008年)はアメリカのソウルシンガー。

るんるんSerge Gainsbourg & Brigitte Bardot「Comic Strip」
60〜80年代あたりのフランスのポップカルチャーを代表する天才セルジュ・ゲンズブールと女優ブリジット・バルドーとのコミカルなデュオ。おそらくナンセンスな感じの歌詞なのでしょうけど、色気を感じるお洒落な曲ですね。1967年の作品のようです。映像のほうも『時計仕掛けのオレンジ』っぽいシュールな雰囲気で楽しいです。

るんるんKaki King「Yellowcake」
アコースティックギターの音色が気持ちいい、雰囲気のある幻想的なメロディです。カーキ・キングはアメリカのギタリスト、シンガーソングライター。

るんるんKenny Ball & His Jazzmen「Big Noise From Winnetka」
ベースのうねりが最高に気持ちいいですね。ケニー・ボール&ヒズ・ジャズメンは主に60年代に活躍した英国のジャズバンド。

るんるんMoreno「Milko」
るんるんMoreno「Cesar Swing」
畳み掛けるようなギター、ジプシースウィングのノスタルジックな響きが心地よいですね。ルシアン・モレノはフランスのジャズギタリスト。

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タグ:音楽 洋楽
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2015年11月24日

フラクタル・カリフラワー

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フラクタルな造形美が面白いロマネスコ。以前よりは見かけるようになった気もしますが、それでも流通量が少ないのか、年に1、2度スーパーでたまに見かける程度なので、見つけるとついついじっくり観察したくなります。そういうわけで、またロマネスコの写真を撮ってみました。

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異世界を感じるSF的な造形ですね〜

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遠い星の地表であるとか、未知の生物の住んでいる都市建造物だとか、いろいろと空想がふくらみます。

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見事なスパイラル形状ですね。鉱物の結晶などのように、自然界は生育を邪魔するノイズが無い理想的な状況下では、おのずと幾何学的で秩序だった構造になりそうですが、日常世界ではノイズがある状況が普通なので、逆にこうした造形が不思議に見えるのでしょうね。

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そう考えていくと、この世界って、極小の世界では原子は球状の形をとりますし、極大の世界、たとえば星なども球状ですね。原子がまるいのは、原子核を周回する電子が軌道半径上のあらゆる場所に確率的にほぼ等しく存在するから総体としてまるく見えるということだと思いますし、星がまるいのは、一定以上の大きさになると自分自身の重力の影響により、重心から均一になるように作用するため自然と球体になってしまうからですが、そう考えると、人間の生きている世界のスケールというのは実に絶妙だなぁ、と思いますね。もっとも形状のバリエーションが存在するスケールが人間世界なのでしょうね。また、このスケールの範囲でしか高等な知的生物が存在することは不可能ともいえるわけで、一般に極論として受け取られがちな人間原理も、実のところは意外に的を射ているんじゃないか、と思っています。

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などと、この不思議な形状を見つめていると、いろいろ空想がひろがっていきます。よくあるブロッコリーの2倍ほどの値段でしたが、大きさもブロッコリーの2倍ほどあるので、物珍しい品種にしては手頃な感じですね。

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とまぁ、いくら生物らしからぬ形状とはいえ生ものですから、新鮮なうちにサクッと!二日ほどフラクタルな美を鑑賞してからサラダにして食しました。
posted by 八竹釣月 at 21:49| Comment(3) | 雑記

2015年11月22日

女性美展覧会

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戦前婦人雑誌のスクラップ帳から、『女性美展覧会』と題された雑誌企画をご紹介します。スクラップされた状態で入手したものなので掲載雑誌名などは不明です。当代の美人写真を品評するという俗っぽい企画ながらも、ワイワイとかわいこちゃん評論に花を咲かせているのが、なんと「蘇州夜曲」「青い山脈」など数々の名歌謡曲の作詞で知られる詩人の西條八十、朝丘雪路の父にして美人画の大家である伊東深水、元代議士を父に持つお嬢様女優として喜劇を中心として活躍した女優森律子といった、今の目から見ると豪華すぎるメンツです。雑誌のモノクロページのちょっとした企画に各界の大御所がコメントを寄せるというのがすごいですね。まぁテレビの無い時代ですし、それだけ昔の雑誌というのはメディアとして力をもっていたことの証なのでしょう。

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posted by 八竹釣月 at 21:32| Comment(0) | 古本

2015年11月21日

エンデと神秘主義

水瓶座『はてしない物語』のオカルティズム
ドイツの児童文学作家、ミヒャエル・エンデ(1929〜1995年)については、『はてしない物語』を読んだ程度で、さほど詳しいわけではないのですが、エンデには児童文学者としての才能だけにとどまらない謎めいた深みを感じる部分があり、気にかかっている人物です。『モモ』や『はてしない物語』がつとに有名ですが、日本に関する部分では、アニメ『ジムボタン』(1974年。シナリオは基本的な設定以外はオリジナルで、原作とは全くの別物のようです)の原案(『ジム・ボタンの機関車大旅行』1960年)として、また『はてしない物語』の日本語版翻訳者の女性と結婚していたり、と、日本との縁も深い作家であります。

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ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』上田真而子、佐藤真理子:訳 岩波書店 1982年

などと説明しつつも、私がエンデに惹かれるのは、そうした日本との縁が理由なのではなく、神秘主義者(オカルティスト)としての側面だったりします。『はてしない物語』に登場するファンタジーの国、ファンタージエン国の女王、"幼(おさな)ごこころの君"に主人公バスチアンは新しい名前を与えます。その名は"月の子(モンデンキント Mondenkind)"です。モンデンキントはドイツ語で、Mond(月)kind(子供)を合成した言葉で、英語ではMoonchildと訳されており、これはあの稀代の魔術師アレイスター・クロウリーが著した小説の題名と同じです。話を戻して、女王に名前を与えたお返しに女王は主人公に金のメダルを授けます。そのメダルにはウロボロスの像が刻まれています。ウロボロスはこの物語自体の入れ子構造を象徴しているのでしょう。そしてメダルを裏返すと、そこには以下のような文字が刻まれています。

汝の欲することをなせ


これもまたクロウリーの代表的著作『法の書』に記されている、クロウリー哲学を象徴する有名な言葉と同じ文句です。こうしたことから、エンデという作家の描くファンタジーというのは、単なる空想譚ではなく、オカルティズムを背景にした神話的なものなのではないか、と、なんとなく感じた次第です。

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ウロボロスの図像。(1760年 ライプツィヒ)
ウロボロスは、一般に尻尾をくわえる蛇の図像として描かれます。主に錬金術などのオカルティズムでよく目にする幻獣ですが、ルーツは古く、洋の東西を問わず古代から世界各地に似たような幻獣が描かれてきたようです。自らの尻尾を喰らい、やがてすべてを食べてしまったとき、完全に無に帰するという性質から、クレタ人のパラドックスめいた自己言及の象徴が見て取れます。ウロボロスは、一匹の場合と、二匹以上の場合、また蛇でなくドラゴンである場合など、バリエーションがあります。蛇もドラゴンもキリスト教的にはどちらも魔界の獣ですが、こうした像をオカルティストはアンチ・キリスト的なシンボルとして用いたのではなく、おそらく西洋的価値観を超えた思想として東洋の秘教を自らの思想体系に取り込んでいった結果なのではないかと思ってます。蛇はエジプトや東洋では聖獣として扱われていますし、ドラゴンは龍として東アジアでは恵みをもたらすパワフルな幻獣であるのは周知の通りですから、魔術やあるいは錬金術というものは、ある種キリスト教社会に対するカウンターカルチャーとしての意味合いもあるんでしょうね。


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『エンデ全集 エンデのメモ箱』上下巻 田村都志夫:訳 岩波書店 1998年 

というわけで、そろそろ本題に入ります。以前『はてしない物語』の感想を書いて以来、また今回エンデを取り上げたのはミヒャエル・エンデの全集(『エンデ全集』岩波書店 1998年)に収められている、『エンデのメモ箱』と題する一連のエンデのアイデアメモを集成した巻を読んだのがきっかけです。この本には、作品という形になる前の構想や日記のようなもの、アイデアの断片が散りばめられており、エンデの脳内を覗いているような気分にさせてくれて興味深いものがあります。前振りで書いたように、エンデのオカルト趣味は存じてましたから、このメモ群の中にオカルティズムに関するメモがいくつかあるのを発見してもとくに驚くことはありませんでした。「アラビア数字?」(『エンデのメモ箱(上)』p205)と題する短いメモを読むまでは・・・

そこに書かれていたのは、書物からの受け売りではない、純粋に天才の直感から来た何かの啓示のようなアイデアであり、これには愕然とさせられました。いやはや、エンデという人は、思ってた以上にオカルティストなんだなぁ、と。それは、エンデの発見したオカルティズムに関するかなり興味深い知見でした。

水瓶座魔術師アグリッパの惑星魔方陣
縦・横・斜めのいずれの列も同じ合計数になるように正方形の升目を埋めたものを魔方陣といいます。同じ数字を他の升目に入れてはならない、というルールに従い方陣を数字で埋めます。魔術師が悪魔を呼び出したりする妖術で使う魔陣(魔法円)とよく似た字面ですがそれとは関係ありません。魔方陣は今では数学パズルとしてお馴染みですが、昔はそのユニークな性質から魔除けや護符などにも使われたそうです。東洋でもその歴史は古く、中国の洛書という不思議な逸話に彩られた魔方陣がありますね。またゲーテの『ファウスト』に登場する「魔女の九九」や、また画家のデューラーによる銅版画『メランコリア』に描かれた魔方陣もよく知られた作品で、数学の神秘性を感じる面白い絵です。ピタゴラスの数学的オカルティズムを例にするまでもなく、数字というのは、現代においてもなにかと神の暗号のような神秘性がしばしば言及されますね。コンピュータという二進法マシンのルーツは中国の易経にあり、というライプニッツを引用した荒俣宏のユニークな説は先日ちょっと触れましたが、近代日本のスピリチュアリズムでここ数年日増しに注目度が高まっている日月神示が、数字と記号が組合わさった暗号めいた文字による神霊からの啓示であるというのも、謎めいていて、数字という人間が手にした最も抽象的な言語の神秘性を感じたりします。

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ゲーテの『魔女の九九』と、デューラーの『メランコリア』に書かれた魔方陣。

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伝説ではおよそ4000年前に黄河の支流である洛河(洛水)に、不思議な亀が現れたそうです。亀の甲羅には図のような文様があらわれており、文様を数字に置き換えると3×3の魔方陣となります。洛書に関する記述は後漢(25〜250年)に成立した書『漢書』(かんじょ)が初出のようなので、少なくとも2000年近く昔にはそのような伝説が成立していたことになります。

太陽系の惑星は、人間にとって最も身近な星ゆえに、古来からそれらは占星術ではとても重要な意味を付加された星でもありますが、16世紀ドイツの魔術師アグリッパ(1486〜1535年)はそれら惑星と対応する魔方陣を結びつけました。それはまるで古代ギリシアの哲人ピタゴラスの、数学とオカルティズムの渾然としたノリに通じるものがあります。以来この魔方陣の占星術的解釈によって護符としても機能するようにもなったそうですが、さて、この惑星魔方陣、いったいどういう根拠で各魔方陣と惑星を結びつけたのでしょうか。そこがイマイチよくわからず、納得の行く説も見当たらず、いつしか「まぁオカルトなんだし、霊感とか、そうしたたぐいの直感で決めたんだろう」とモヤモヤしつつも適当に自分を納得させてました。

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魔方陣と惑星の対応
アグリッパは、三方陣は土星、四方陣は木星、五方陣は火星、六方陣は太陽、七方陣は金星、八方陣は水星、九方陣は月と結びつくと考えました。ちなみに当時16世紀の天文学では太陽も月も惑星扱いでした。3×3以下の方陣が無いのには数学的な理由があり、一方陣ではひとつのマスにひとつの数字のみなので魔方陣とはならず、二方陣の場合はすべてのマス目に同じ数字を入れる以外にないので魔方陣として成立しません。


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実際の惑星の並びと惑星魔方陣。バラバラで規則性が無く、惑星との対応は太陽系の並び順とは関係がなさそうだ。

エンデの発見とは、まさに、その惑星と魔方陣の対応の根拠に迫るものです。

ここで、古典時代からよく使われる惑星のシンボルを、それに対応する基礎数の書き方と比べてみよう。すぐに気づく事だが、後者は文字に書かれた、いわば走り書きのかたちの前者にほかならない。
ミヒャエル・エンデ 『エンデ全集 18 エンデのメモ箱(上)』p206

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惑星記号を崩してアラビア数字に見立てると、アグリッパによる惑星と各魔方陣との対応にピタリと一致した!

エンデはこの大発見を興奮気味に記しています。
今まで、だれもこれに気づかなかったとすれば、ほとんど信じられないことだ。この明白さは議論の余地がないようにわたしには思えるが、これを指摘するものを、まだどこにも見つけたことがない。
ミヒャエル・エンデ


惑星との対応付けというと、太陽系での実際の並びとか、惑星の大きさ順とか、どうしても先入観で実際の惑星と関連した結びつけをしてしまいがちですが、惑星記号とアラビア数字との関係というのは、灯台下暗しというか、まさにコペルニクス的発想だと膝を叩いてしまいました。アグリッパの惑星魔方陣の謎についてはいくつか別の説も散見したことがありますが、エンデのこの説は、中でも最もシンプルで、かつ説得力のあるものです。誰もこのシンプルな秘密に気づかなかったのは、アグリッパという伝説の魔術師のカリスマ性もあるでしょう。あのアグリッパなのだから、なにか深遠な神秘学的な根拠があるはずだ、という先入観が、真相に覆いをかけていたのかもしれません。ということで、『はてしない物語』を読んでから、このミヒャエル・エンデという人はただの児童文学作家ではないという確信がありましたが、この件でそれが十分証明されたような気がして嬉しくなり、勢いで記事を書いてみました。
posted by 八竹釣月 at 17:24| Comment(0) | 精神世界

2015年11月17日

昭和モダンなタイプフェイス

昭和31年発行の『応用図案文字集』より、ユニークなタイプフェイスをいくつかチョイスしてみました。大胆なアールデコ様式のデザインがいい感じです。

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『応用図案文字集』辻克巳:編著 大同出版社 昭和31年[1956年]

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(上)「写真機」、蛇腹や三脚のイメージが上手く融合した面白いデザインですね。
(下)「音楽と蓄音機」、リズム感のある細い線が優雅です。アールヌーボーっぽい蔓草のようなパーツで構成されててお洒落。


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(上)「魔術」、芥川龍之介の小説に使用されたものでしょうかね。どことなく竹中栄太郎テイストなデザインで、伝説の探偵小説雑誌「新青年」とかにありそうな怪奇な感じがたまりません。(下)「罪と罰」、あみがしら(罒)を仮面に見立てているのが面白いですね。「罪」さんが背伸びして「エッヘン!」と威張ってるような雰囲気がかわいいです。

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(左)「星は乱れ飛ぶ」、線の細さや漢字とひらがなのバランスが見事。(中)「街頭装飾」。(右)「何々屋商店」

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(左)「白雪姫」、牧美也子の少女漫画のタイトルにありそうな夢見る少女な感じのデザインですね。こういう角のデザインは70年代あたりの少女漫画の定番ぽい感じで好きですが、そういえば「ルパン三世」もこんなデザインのロゴですよね。(右)「仏蘭西料理」、そういえば仏教国でもないフランスにご先祖様は何故「仏」の字を当てたのでしょうね。適当に当てた字が書き継がれていくうちになんとなく定着したという感じでしょうか。こちらのサイト様の情報によると、はっきりした事は不明のようですが、江戸時代ころにできた当て字のようですね。ちなみに中国語では「法国」と書くようです。

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日本全国の地名が見開きいっぱいに散らばっています。イメージ通りにデザインされた地名もあれば、ミスマッチな感じのものもありますが、こうしてデザインされると、いっそう地域ごとの個性が感じられて楽しいですね。

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「我らの生涯の最良の年」、う〜ん、毎年そうありたいものです。

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裏通りの街の看板にありそうな雰囲気ですね。半世紀以上昔の本には、こんな感じの手書きでデザインされた味のあるロゴタイプが多く手書きロゴの背表紙はひときわ本棚に栄えます。

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「男性意気」と「東洋の秘密」の文字がグラフィカルに組合わさっていい雰囲気ですね。「東洋の秘密」は縦書きと横書きをクロスにして組んでますが、よく見ると、一種類のロゴを組み替えたのではなく、ちゃんと縦と横では微妙に異なったデザインになってます。とくに「密」のデザイン処理がすごくイイですね。一文字だけ抜き出すと読みにくいデザインですが、単語として並ぶと普通にちゃんと読めてしまう、という絶妙なバランス感覚は、とても勉強になります。
posted by 八竹釣月 at 10:51| Comment(0) | 古本