2015年04月29日

透明耽美

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透明でキラキラしたものは、心を純粋に高貴にしてくれるような気にさせます。色も持たず、光を遮らないその「主張性の無さ」は、没個性という負の印象よりは、ポジティブなイメージで受け取られる機会のほうが多いですね。それは、我を主張せず場に溶け込むという聖なる性質をイメージさせるからでしょうか。いろいろと象徴的なイメージが思い浮かびますが、そう深く考えずとも、人類普遍に無意識に好ましいイメージがあるのは確かだろうと思われます。

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古くは、透明なモノというと氷や水晶などが代表だと思いますが、現代の透明物質の定番というとガラスでしょう。ガラスの歴史は紀元前数千年にも遡るとされているようですが、実際に手軽に大量生産が可能になるのは産業革命以降のようですから、ガラスが身近に使えるようになったのはせいぜい百年ちょっとの歴史なんですね。

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宝石や貴金属の歴史をみても、透明でキラキラしたモノというのは、実用性を超えた価値を見いだされ常にいつの時代も人間を魅了し、その希少性から醜い争いも数多く繰り返されてきましたが、そういう意味では、誰でも手軽にキラキラしたモノを楽しめる現代はそこらじゅうに豊かさを見いだせる時代である、ともいえるかもしれません。スワロフスキーなどは、たかがガラスとは言えないレベルの美しさで、ガラス生成技術もひそかに年々進化しているのでしょうね。

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ガラスの置物。ガラスの中のクラゲは暗闇で蛍光して神秘的です。

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水晶のクラスター。水晶は、昔はメガネなどのレンズもガラスのかわりに使われていたり、現代ではその圧電体としての性質からクオーツ時計として利用されたり、人類と密接に付き合いのある鉱物です。

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紫陽花模様のガラス皿。表面の特殊加工で、傾けると虹色に反射してきれいです。

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アクリル製のタツノオトシゴ。

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オーストラリア産のジプサム。雪のような、花火のような、美しい結晶です。石膏の結晶は様々な色形のものがありますが、中でもこのような針状の繊細な結晶のものはジプサムと呼ばれます。

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ブリリアンカットされた美しく輝くキュービックジルコニア。模造ダイヤのイメージが強く、インチキくさいネガティブな印象を持たれがちですが、安価でありながらルビーなどのコランダム系に近い硬度(8〜8.5)、さらにダイヤモンドに近い高い屈折率をもつ優秀な結晶体です。

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ヴェルサイユ宮殿の、アメシスト(紫水晶)で出来た豪奢なシャンデリア。こんな高貴なシャンデリアの灯りで生活できたら夢のようでしょうね。(「宝石」カラーブックス20 保育社 昭和38年)
posted by 八竹釣月 at 03:14| Comment(2) | コレクション

2015年04月05日

さくらさくら

世の中にたえて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし

在原業平(825-880) 『伊勢物語』より


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桜が咲き、日本が最も日本らしく彩られる時期ですね。観光地でなくとも、普通にどこでも、公園や施設の庭や民家でも植えられていて、この時期ちょっと散歩してるだけで、そこかしこに桜の木が植えられていたことに気づかされます。

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「二ねんせいのおんがく」教育藝術社 昭和29年
古風で雅な響きの「さくらさくら」は、日本の伝統音楽という先入観がありましたが、幕末につくられたものらしく、意外に新しい歌なんですね。

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雪景色のように咲いた満開の桜に囲まれた道を歩いていると、ふと異世界に迷い込んだような錯覚をおぼえます。

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林唯一(はやし ただいち):画 「童謡と童画」國民社 昭和16年

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薄紅の白い団子状にゴージャスに開花したソメイヨシノ。日本では、桜といえばソメイヨシノですが、これも比較的新しい品種で幕末から明治初期にできた品種のようです。古今和歌集で歌われている「春ごとに 花のさかりは 有なめど あひみむ事は いのちなりけり(詠み人知らず)」は、ヤマザクラを詠んだもので、古典文学に登場する桜のほとんどはヤマザクラだそうです。ソメイヨシノは葉っぱを付ける前に一斉に花開くので、満開のソメイヨシノは雪景色のように見事に真っ白に風景を彩り、まさに豪快優美、花見にベストマッチな品種ですが、ヤマザクラの風情感もなかなか古(いにしえ)の日本を感じさせる趣がありますね。

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「欧州管弦楽合奏之図」楊洲 周延(ようしゅう ちかのぶ 1838-1912)

清水へ 祇園をよぎる 桜月夜 こよひ 逢う人 みなうつくしき
与謝野晶子(1878-1942)


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いかにも桜が似合いそうな古都、京都にふさわしい「桜石」。温泉地としても知られる京都府亀岡市稗田野町湯の花で採取されたものです。何年か前に鉱物のイベントでゲットしました。桜の花のような可愛らしい形に結晶しています。桜石は、菫青石(きんせいせき)が分解され六角柱状の結晶形だけを残して白雲母などに置き換わった仮晶です。

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こちらは母岩付きの桜石。可愛い形と銀に輝くシブイ光沢が日本らしい鉱物ですね。

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こういう時期に京都や奈良、あるいは伊勢神宮など、コテコテに日本っぽい場所で花見するのは最高の贅沢でしょうね。

桜花 ちらばちらなん ちらずとて ふるさと人の きても見なくに
惟喬親王(これたかしんのう 844-897) 「古今和歌集」
posted by 八竹釣月 at 01:05| Comment(2) | 雑記